財務諸表を理解しよう!貸借対照表と損益計算書の繋がり編【2015年 第5回】

【2015年 第5回 財務諸表を理解しよう!貸借対照表と損益計算書の繋がり編】 イメージ図で理解すると投資指標って簡単!

伊藤 美恵 ⇒プロフィール

せっかく参加した株式セミナーで、聞いたことに対して理解出来ないと感じたことはありませんか?その原因のひとつが、実は投資指標なのです。投資指標が理解出来るだけで、難しいと感じるハードルは、ずっと低くなります。では、どうしたら、投資指標を理解出来るのでしょうか?投資指標を理解するためのキーポイントは、財務諸表を理解するのが近道です。今回は、貸借対照表と損益計算書の繋がりなどについて、学んでみましょう。

貸借対照表と損益計算書は繋がっている

損益計算書は、収益から費用を引いた残りが利益となることより、下記の右の表のように表されます。

損益計算書の利益は、貸借対照表の純資産の増加及び、もちろん総資産も増加として反映されます。利益剰余金とは、純資産の一部です。当期の純利益が純資産に組み込まれるのです。純資産が増えれば増えるほど、企業は安定していくこととなります。反対に、損失が出た場合は、前年度までの利益剰余金などから損失を補うため、純資産も総資産も減ってしまう訳です。純資産が減ることにより、負債の割合が高くなりますから、企業は不安定となります。実は、貸借対照表と損益計算書は、利益や損失(損益)で繋がっているのです。

損益計算書を見るポイント

損益計算書を見るポイントとしては、毎年、利益が出ているかどうかです。利益を上げるために、毎年売上も増えていると更に望ましい訳です。これを、増収増益と言います。増収とは、収益が前期(昨年)より増えているかどうかについてです。増益とは、前期よりも当期純利益が増えているかどうかです。投資をする場合、せめて3期分(3年分)を見て、3期増収増益であるかどうかを見てみると良いでしょう。企業とは利益を出すことによって、株主に配当金が支払うことができ、設備投資をするための資金を確保し、企業として発展していくことが望ましいのです。

 

ここでいう増収ですが、どんな種類の増収でも良いのかというと、何でも良い訳ではありません。収益の種類についてですが、本業で稼いだ売上であることが重要です。例えば、メーカーなら自社製品を作り、それを売って儲けることが本業です。

ところが、メーカーの本業の業績が振るわなくなり、このままでは損失が出そうだという場合、保有する土地などを売却するようなことがあります。帳簿上の金額よりも高く売れて特別利益が増え、当期純利益が増えることがあります。しかし、特別利益での増収、つまり売却できる資産にも限りがあるでしょう。売却できるものが無くなった時から、純損失が出ることとなります。

だからこそ、毎年、本業で生み出す収益が大切なのです。損益計算書では、一年間でどのように稼いできたのか、何で利益をもたらしたのかを確認してください。つまり、本業で稼いだお金で利益をもたらしたのか、特別利益で利益をもたらしたのかを確認してくださいということです。本業で稼いだお金で利益をもたらしていたのであれば、合格です。

次に、損益計算書上で本業での当期純利益が増えるということは、貸借対照表の純資産が増えることに繋がりますので、貸借対照表では、一年間で会社の財務状況が昨年と比べ、どのように変わったのかを確認してください。

「木を見て森を見ず」というコトワザがありますが、ここでは、損益計算書が「木」であり、貸借対照表が「森」であるということです。

損益計算書や貸借対照表などの知識があることで、今後お話する投資指標について格段に理解しやすくなります。

さて次回は、財務諸表の一つである「キャッシュ・フロー計算書」についてお話します。

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