株価収益率(PER)基礎編【2015年 第9回】

【2015年 第9回 株価収益率(PER)基礎編】 イメージ図で理解すると投資指標って簡単!

伊藤 美恵 ⇒プロフィール

せっかく参加した株式セミナーで、聞いたことに対して理解出来ないと感じたことはありませんか?その原因のひとつが、実は投資指標なのです。投資指標が理解出来るだけで、難しいと感じるハードルは、ずっと低くなります。今月から、投資指標について学んでみましょう。今月は、株価収益率(PER)を取り上げてみたいと思います。

投資指標とは?

皆さま、覚えていらっしゃいますでしょうか?株式投資は、「成長株」と「割安株」を見つけて投資することが基本だと、第1回のコラムにてご紹介しました。

まず、成長株かどうかについては、増収増益であるかどうかを確認する必要があるとお話しました。増収増益については、財務諸表で最低でも過去3年分の確認が必要です。

 

次に、割安株かどうかを確認するための代表的なものとしては、株価指標が挙げられます。

株価指標は、投資指標のひとつで、個別銘柄の株式を分析するための指標です。株価指標とは、現在、株式が割安で買えるのか、買うには割高なのか、判断する手助けになるのです。

 

投資指標には、株価指標の他に、配当関係の指標や経営効率を計る指標、財務の安定性を計る指標などがあります。まずは、株価指標の一つである「株価収益率(PER)」について学んでみましょう。

株価収益率(PER)とは?

株価収益率は株価収益倍率とも言われています。「倍率」という言葉で表されているとおり、何倍かどうかを見る指標です。その他にも、Price Earnings Ratioの略で、「PER」とも言われています。Priceは、価格のことを言いますが、株式の世界では「株価」を意味します。EarningsのEarnは稼ぐことを言い、ここでは「収益」を指しています。Ratioは、比率や率のことを言います。ここで分かることは、株価と収益の比率を見るものです。

 

株価収益率とは、「株価」が「1株当たりの当期純利益」の何倍まで買われているかを見る指標です。指標は高いほど割高であり、低いほど割安とされています。株価そのものが、「1株いくらであるか」という表示のため、もちろん「当期純利益も1株当たりいくらであるか」に直してあげないといけません。

 

したがって、株価収益率(PER)を求める前に、1株当たりの当期純利益」を求める必要があります。「1株あたり当期純利益」のことは、Earnings Per Shareの略でEPSとも言われています。もちろん、Earnは収益のことでしたね。ここでは当期純利益を指します。Perは「1個に付き・1つ毎に」等という意味があり、ここでは「1株ごと」という意味となります。Shareは、シェアする、分け合うという意味です。1株あたりの当期純利益(EPS)は、「当期純利益を1株ごとに分ける」ことです。1株あたりの当期純利益(EPS)は、会社の収益力をはかる重要な指標であり、EPS指標が高いほど、その企業の収益力が高いことを示します。

 

株価収益率(PER)の求め方 

まずは、「1株当たりの当期純利益(EPS)」を求める必要があります。当期純利益を1株ごとに分けるためには、当期純利益を発行済株式総数で割って求めます。

 

 

 

「1株当たりの当期純利益(EPS)」を求めた次は、株価収益率(PER)を求めます。株価収益率(PER)は、株価を1株あたりの当期純利益(EPS)で割って求めます。

投資指標を言葉で話しても、計算式で表しても、投資指標の計算式を覚えるのは、簡単なことではないと思います。沢山の方から、投資指標の計算式を覚えられないと耳にします。でも、ご安心ください。笑われてしまうかもしれませんが、実を言うと、私も、投資指標の計算式を殆ど覚えていません。

 

ここで、このコラムの題名を思い出してください。「イメージ図で理解すると投資指標って簡単!」でしたね。言葉や計算式を覚えることは、左脳の仕事です。では、イメージは?そうです。右脳の仕事です。ここで、私達を助けてくれるのは、右脳に焼き付ける「イメージ図」なのです。このイメージ図を、右脳で覚えてしまいましょう!しかも、イメージ図から、いくらでも計算式を作り出すことが出来るのです。

「1株当たり当期純利益(EPS)」と「株価収益率(PER)」のイメージ図

上記の計算式を、イメージ図に表したものです。ひとつずつ、次の文章とイメージ図を対比させて読み進めてください。

「①当期純利益」を「②株式総数」で割ったものが、「③1株当たり当期純利益(EPS)」です。

「株価収益率(PER)」とは、「④株価」が「③1株当たり当期純利益(EPS)」の何倍あるかを示した指標です。

 

 

 

 

 

 

 

例えば、「①当期純利益100,000円」「②株式総数1,000株」「④株価1,000円」の会社であるならば、

「①当期純利益100,000円」を「②株式総数1,000株」で割ったものが、「③1株当たり当期純利益(EPS)100円」です。

「④株価1,000円」は、「③1株当たり当期純利益(EPS)100円」の10倍」であることから、株価収益率は10倍であることが分ります。

(計算式)

1株当たり当期純利益(EPS=純利益100,000円÷発行株数1000株=100

株価収益率(PER=株価1,000円÷EPS100円=10

イメージ図を思い浮かべられるようになると、計算式をイメージ図から作り出すことが可能になり、更に、株式セミナーに参加した際、講師が投資指標を話すことがあれば、イメージ図がポンっと頭の中に浮かんでくるようになります。きっと、株式セミナーが楽しくなるでしょう。計算式だけで覚えていると、「この指標は何だっけ・・・」と考えているうちに、講師の話に置いてきぼりになり、何を話しているか分からなくなってしまい、株式セミナーって難しいな・・・ということになってしまうのです。

次回は、株価収益率(PER)を実際に見てみることにしましょう。今回は基礎編で、来月は実践編でお届け致します。

 

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