商品価格はどのくらい上昇しているの?(前篇)【2012年 第1回】

【2012年 第1回 商品価格はどのくらい上昇しているの?(前篇)】若者&奥様のための「商品投資入門」

三次 理加(ミツギ リカ)プロフィール

 

皆様、こんにちは! ファイナンシャル・プランナーの三次理加(みつぎりか)です。 最近、私は家庭菜園を始めました。なぜ?って、世界の食料事情が大きく変化しているからです。また、ここ数年にわたり商品価格が上昇していて、その上昇傾向がまだまだ続くと思われることも理由のひとつ。

昭和40年度には73%あった我が国の食料自給率(注1)は年々減少の一途を辿り、今や39%(平成22年度)しかありません。また、我が国は世界一の農産物純輸入国(注2)。たとえば、サラダ油などに使われる大豆の自給率は6%、小麦の自給率は9%、とうもろこしの自給率は、ほぼ0%!!!と非常に低い水準です。

天災や戦災等のトラブルにより、万が一、これら食料の輸出国が日本への輸出をストップしたら???待っているのは、図表1のような食生活です。


主婦でもある私は、家族の食生活を守るべく、万が一に備えて家庭菜園を始めた、というわけです。といっても、まずは簡単に栽培できる「さつまいも」から、ですけどね。。。

注1:カロリーベース。資料「平成22年度食料自給率をめぐる事情」平成23年8月/農林水産省
注2:輸入額から輸出額を差し引いた結果、プラスになる国のこと。
注3:「食料需給表 平成22年度」農林水産省より、平成22年度(概算)数値。

視点を主婦から投資家に変えてみましょう。

投資家としてみれば、この商品価格の上昇、30年ぶりともいわれる商品の大相場を自身の資産運用に活かしたいものですね。

「商品投資」といえば、以前は金やプラチナなどの現物投資か商品先物取引しかありませんでした。また、数十万円から数百万円とある程度まとまった資金が必要なものがほとんど。数千円程度から投資できる商品といえば、金やプラチナ等の積立、金貨くらいしかありませんでした。

さらに、年齢制限や所得制限があり、若者や奥様では取引会社に口座開設ができない、といった商品投資もあります。そのため、これまでは「若者や奥様が気軽にできる商品投資」というものは、あまりなかったといえます。

ところが、昨今の商品価格上昇を背景に、「商品」を巡る投資環境は激変。商品投資の種類も豊富になり、数千円程度から投資できる商品も登場しました。つまり、「若者や奥様が気軽にできる商品投資」が増えてきたのです!

そこで今回から1年間にわたって、若者や奥様向けの少額から投資できるものを中心に、商品投資について紹介いたします。

初回となる今回は、最近の商品市況について紹介しましょう。

最近の商品市況

冒頭で「ここ数年にわたり商品価格が上昇している」とお話しましたが、実際には、商品価格はどのくらい上昇しているのでしょうか?

2001年からの2011年までの約10年間で、ドル建て商品価格は平均でおよそ1.65倍(注4)になっています。より詳しく、個別商品をみてみましょう。

図表2は、2001年9月末の価格を100として、2011年11月末までの代表的な商品価格(ドル建て)の推移を表したグラフです。金はおよそ6倍、原油は4倍、とうもろこしはおよそ3倍になっています。

注4:ロイター・ジェフリーズCRB指数(2001年9月末190.49→2011年11月末315.49)より。

「でも、ガソリン価格は上昇したとはいえ4倍にはなっていないし、食品価格もそんなに上がってはいないけど…?」

そう思った方もいらっしゃるかもしれませんね。

たとえば国内のレギュラーガソリン店頭価格。2001年9月末に107.1円/リットルだったものが、2011年11月には143.7円/リットルになりました。
(注5)上昇したとはいえ、1.34倍になった程度です。

注5:(財)日本エネルギー経済研究所石油情報センター公表のレギュラーガソリン月次調査数値(全国平均、消費税込み)。2011年11月末は11月28日時点の価格。

なぜでしょうか?

その理由のひとつが「円高」です。

図表3をご覧ください。


2001年後半、ドル/円はおよそ120円から130円付近で推移しています。一方、2011年11月現在は、70円台後半。国内では、「円高」が商品価格の上昇を抑えていたといえるでしょう。

そのため、国内商品価格はドル建て商品価格に比べ、上昇率が低くなっているのです。図表3を改めてご覧ください。円建ての商品価格の場合、金はおよそ4倍、原油は3倍、とうもろこしはおよそ2倍となっていますね。

とはいっても、たとえばガソリン店頭価格に比べ、原油価格の上昇のほうがまだまだ大きいですよね?それは、ほとんどの企業が商品価格上昇をそのまま販売価格に転嫁できていないからです。これは、ガソリンだけではなく他の商品についてもいえることです。

しかし、それにも限界があります。事実、帝国データバンクの調査によると、原油をはじめとした資源・商品価格高騰の影響により倒産した国内企業数は、2005年(年間78件)から2008年(658件)にかけて、8倍余りにも急増しました。

なぜ、商品価格は上昇しているのでしょうか?

次回は、その背景について説明します。お楽しみに。

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