【2012年 第6回 貴金属現物投資】若者&奥様のための「商品投資入門」
三次 理加(ミツギ リカ)⇒プロフィール
スイスには、子供が生まれると、毎年、誕生日に金貨を1枚購入してアルバムに貼り、成人の際にそのアルバムを手渡す、という風習があるそうです。金貨などのコイン、金地金(金塊、バー、インゴット)等への投資は、古くからある貴金属現物投資といえます。今回は、コインやバーなどの貴金属現物投資について紹介します。
コインについて
コインには、一般的に1オンス、1/2オンス、1/4オンス、1/10オンスという4種類(注1)のサイズがあります。コインの重量は「オンス」表示となっていますが、第4回で説明したように、貴金属の場合1オンス=31.1035グラムです。
様々な国がコインを発行していますが、国内でよく目にするのは、たとえば金貨の場合、オーストリア・パース造幣局が発行するウィーン金貨、カナダ王室造幣局が発行するメイプルリーフ金貨です。
また、品位(純度)は、たとえば金貨の場合、22Kや24Kなど金貨によって異なります。
注1:中国のパンダ金貨、オーストラリアのカンガルー金貨など1/20オンス金貨もある。
コイン投資のメリットと注意点
コインは、少額から投資できます。たとえば、1/10オンスの場合、金貨なら16,000円弱、プラチナコインなら15,000円弱から購入できます。(注2)1枚から売却可能のため、少額であっても換金できます。また、持ち運びに便利で、財産を分割し易いというメリットがあります。以上から、コイン投資は、気軽に始めることができる貴金属現物投資といえるでしょう。
また、コインは、美術品としてプレミアムがつきます。そのため、金貨やプラチナコインの小売価格は地金よりグラムあたり360円程度割高となります。一方、買取価格は、その状態によりプレミアムがつく場合と、つかない場合があります。小売価格と買取価格の差は、プレミアムがついた買取価格の場合グラムあたり400~420円程度、プレミアムがつかない買取価格の場合グラムあたり610~640円程度です。買ったコインが真空パックやケースに入っている場合、中身を出さずそのまま保存しておくことをおすすめします。開封すると、売却の際、プレミアムがつかない買取価格になってしまうおそれがあります。
なお、銀は金やプラチナと比べ、グラムあたりの単価が安いので、銀貨はより気軽に購入できるコインといえます。
注2: 消費税込、2012年6月6日現在
地金投資のメリットと注意点
地金(じがね)は、金塊、インゴット、バーなど様々な呼び名があります。地金は、数グラム単位のものからおよそ12.5キログラムのものまで、様々な重量のものがあります。たとえば金地金には、図表2のようなサイズがあります。500g未満の金地金は、スモール・バー、コイン・バーと呼ばれます。金の場合、500g未満のバーを売買する場合、バーチャージという手数料が必要となります。バーチャージは、小売価格に加算、買取価格から減算されます。
また、数十種類のブランドがあります。国内で有名なブランドとしては、田中貴金属、住友、三菱マテリアル、徳力、石福、日鉱金属などが挙げられます。基本的に、ブランドによって価格が異なることはありません。
地金は、地金商、証券会社、百貨店、銀行、商品取引員などで取り扱っています。ただし、業者によっては売却を受け付けていない、または売却に制限がありますので予め確認しておくことをおすすめします。たとえば、百貨店、銀行などは売却を受け付けていないところが多く、一部の地金商は自社ブランド以外の売却を受け付けていません。
なお、地金には様々な刻印がなされており(図表2)、それ自体が保証書を兼ねているといえます。そのため、絵画や美術品のように紙の保証書はありません。売買の際には業者から納品書や計算書などの書面が交付されます。これらの書面は、売却の際に揃えていたほうがよいこともあります。地金と一緒に大切に保管しておくようにしましょう。
ちなみに、銀地金は、重量も大きく、一般の人にとって取扱が難しいこともあり、個人的にはあまりおすすめしません。
次回は、商品を投資対象とする投資信託について紹介します。お楽しみに。
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