増え続ける自転車事故【2013年 第5回】

【2013年 第5回  増え続ける自転車事故】大学生のためのパーソナル・ファイナンス

横川 由理(ヨコカワ ユリ)⇒ プロフィール

交通事故の約2割が自転車との事故。事故といっても被害者になるとは限りません。自転車事故の損害賠償金は何千万円にも達するのです。

 

 

 

 

 

自転車での事故

自動車やバイクを買ったら、保険に加入するのが常識。それもそのはず、自動車やバイクの場合、保険への加入が法律で義務づけられているからです。

新しく自転車を買ったからといって保険に加入する人は、まずいないでしょう。

でも、自転車を運転するということは、いつでも加害者になる可能性があるということなのです。

歩道を猛スピードで走る自転車に怖い思いをしたこと経験は、1回や2回ではないはず。携帯電話で話しながらの走行などマナーの悪さも目立ちます。歩行者にとって、自転車はいわば走る凶器といえるでしょう。

自転車での事故は増えています。

日本損害保険協会のHPには、自転車事故における高額な損害賠償額が記載されています。その例を見てみましょう。

実例1:

男性が夕方、ペットボトルを片手に下り坂をスピード落とさず走行し交差点に進入、横断歩道を横断中の女性(38歳)と衝突。女性は脳挫傷等で3日後に死亡した ⇒ 6,779万円。

実例2:

男子高校生が、自転車で歩道から交差点に無理に進入し、女性(60歳)が運転する自転車と衝突。女性は頭蓋骨骨折を負い9日後に死亡した ⇒ 3,138万円

実例3:

女子高校生が夜間、携帯電話を操作しながら無灯火で走行中、歩行中の女性(57歳)と衝突。女性には重大な障害(手足がしびれて歩行が困難)が残った ⇒ 5,000万円

とても払いきれる金額ではありません。

一生かかって損害賠償金を支払っていくことになります。

もちろん、利子だって払わなければなりません。交通事故の場合は5%が多いようです。

5%の利息を負担しながら、損害賠償金3,000万円を20年間で返済すると、年間の返済額は約241万円。

20年分の利息だけで、1,800万円にも達するのです。

 

そもそも、年間240万円も払える人は多くはありません。

30年の分割払いだと年間200万円。利息は2,800万円です。

損害賠償金自体も大きいものですが、5%の利子というのは何10年という長い間では、これほど高額になってしまうのです。

でも、備えあれば憂いなし。

こんな場合に備えるのが保険です。

自転車保険や個人賠償責任保険など、自転車事故時の補償を行ってくれます。

 

保険は自分では支払うことができない、大きなリスクに備えるもの。

たとえば、入院して医療費が20万円かかることもあると思いますが、保険で備えるのは、医療費と損害賠償責任とのどちらでしょう?

そう、損害賠償の金額の方が大きくなりそうですね。

賠償責任を補償する保険は、生活していく上でとても大切。

優先して加入しておきたいものです。
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