【2010年 第5回 保険は、住宅ローンとセットで考えて!】相談コラム
佐藤 名ゝ美(サトウ ナナミ)⇒プロフィール
このコラムは、相談いただいた事例を紹介するコラムです。
相談者・家族構成
夫(37)会社員、Kさん(36)パート、長女(8)
相談内容
昨年、土地を購入しました。3年以内に住宅を建てないと不動産取得税が軽減されないので、
来年には住宅を取得しようと計画中です。
生命保険が多すぎるので見直したいと思っていますが、どうして良いのかさっぱり分かりません。
また、せっせと貯蓄してきたお金が1,000万円ありますが、これを住宅の頭金に充てるとして、
手元にいくら位残しておけばいいでしょうか。
回答
来年と言わず、すぐにでも住宅取得に取り掛かっていいくらいの強い家計だと思います。
ローン返済のことだけを考えると、住宅購入時の頭金は多ければ多いほど有利ではありますが、だからと言って手持ちの資金を全て投入してしまうのは危険ですね。
不測の事態に備えて、半年から1年分の生活資金は手元に残しておきたいもの。
家計収支から、ザックリ2~300万円程度がそれにあたると思います。
保険の見直しは、住宅ローンとセットで考えます。
住宅ローンを組む際には、基本的に団体信用生命保険への加入が条件となるからです。
つまり、住宅そのものが保険のようなもの。これを前提に必要保障額を検討します。
住宅購入後(団信加入後)に夫に万一のことが起こった場合、団体信用生命保険によって住宅ローンは完済され、以降の返済は不要になります。
また、夫が契約者となっている学資保険があれば、その分の保険料は払込免除になります。他にも、夫の小遣いも不要となりますので、これらに費やされていた支出は減ることになります。
逆に、Kさん自身の国民年金や健康保険の保険料、固定資産税など、新しく発生する支出もありますが、これらの収支増減を全て考慮すると、Kさんとお子さんが現在の生活を維持するために必要な月々の基本生活費は、差し引き15万円程度になる計算です。
これに対して、公的遺族年金の支給額は月々12万円程度(末子18歳までの金額)と見積もることができますので、Kさんご自身の収入を現在の水準で維持し続けられるならば、当面は生命保険なしでも何とか生活していくことは可能でしょう。しかし、将来の教育費増大や、お子さんが18歳に達した以降は公的遺族年金が減額されることを考えると、2~3千万円程度の死亡保障は準備しておきたいものですね。
どの保険を継続し、どの保険を整理して、どんな保険を追加するかは、現契約の内容を確認しないと判断できませんが、上に例示したような具体的根拠を持って保障設計を行い、保障のダブりやムラを解消すれば、保険料は今の半分ぐらいまでは抑えられるのではないかと思います。
このコラムは、熊本日日新聞(2004年4月~2005年3月)に掲載された「家計CHECK」を加筆修正したものです。
この記事へのコメントはありません。