【2016年 第1回 海外に投資することのメリット】海外投資のイロハを学ぶ
永柄 正智(ナガエ マサトモ)
皆さんは「海外投資」という言葉を聞いてどのようなイメージを持たれるでしょうか。「怪しい」「危険」「詐欺」など、ネガティブなイメージを待たれる方も多いでしょう。実際に海外への投資によって大切な財産を失う人がいることも事実ですから、そのようなイメージを持たれる方がいても仕方がありません。
しかし海外投資のみならず、国内への投資でもリスクは付きものです。投資を行うのであれば、何に投資をしようともそのリスクについてしっかりと理解することが大切です。
それではリスクを取ってまでも海外に投資を行うメリットはあるのでしょうか。今回は、海外に投資する必要性とそのメリットについて考えてみたいと思います。
あなたは「貯蓄」と「投資」のどちらを選びますか
貯蓄と投資のどちらを選ぶかは、選ぶ人それぞれの「リスク許容度」によって違います。
2016年3月末時点のある都市銀行の定期預金金利(1年)は0.010%となっています。
定期預金であれば元本が保証されていますので額面上の金額が減ることはありません。
仮に100万円を預けた場合には1年間の利子として100円を受け取ることができます。
しかし、もしその1年の間に物価が1%上昇した場合はどうなるでしょうか。
同じ商品を1年後に買うためには101万円のお金が必要になります。
定期預金に預けたとしても、100円しか増やすことができず、9,900円が不足することになるのです。
さて、それでは100万円を貯蓄ではなく投資に回した場合はどうでしょうか。
100万円を預けて、仮に年間1%の利回りで運用することが出来れば1年後には101万円に増やすことが可能です。
その場合には同様に物価が1%上昇したとしても1年前に買えたものを同じように買うことができます。
ただし、反対に運用がうまくいかなければ当然元本割れしてしまうことも考えられます。
そもそも投資をすることによって投資金額が元本割れし、それに耐えられないような人は投資をすることには向いていません。
そのような方は投資より貯蓄を選択された方がよいでしょう。リスクを取らずにリターンを得ることなどあり得ません。
海外に投資するメリットとは
IMFの統計によると2015年の日本の経済成長率は0.59%となっており、アメリカの2.57%、フィリピンの6.0%、ケニアの6.50%などと比べてかなり低い状況です。
先進国の中でも社会が成熟しており人口減少や少子高齢化が急速に進む日本においては、新興国などとは違ってこれまでと同様の経済成長を見込むことは難しいでしょう。
一方で、東南アジアやアフリカなどの国々は、政治的な不安定さや地政学上のリスクはあるもの、人口が増加している上に国民の平均年齢が若く、多くの分野において今後の需要が見込まれ、日本に比べると長期的に見て成長する余地が残されています。
投資を成功させるためには、成長する分野や場所を見つけ、その成長を取り込むことができるかどうかに掛かっています。
したがって、少なくとも成長の種を見つける範囲を日本国内に限定することなく、世界全体に範囲を広げていく必要があるのです。
通貨を分散するメリット
海外に投資することのもう一つのメリットは、投資を通じて保有する通貨を分散することができることです。
日本ではアベノミクスによって、1ドルが80円から120円に大幅に円安になりました。
もし1ドル80円の時点で1万ドルを保有していれば、1ドル120円で換算すると40万円が増えたことになり、資産が1.5倍に増加したことになります。
逆に、円の価値は3分の2に減少したことを意味します。
日本は穀物や資源などの大半を輸入に頼っており、その価格は常に為替変動の影響を受けています。
円高になれば輸入品の価格は安くなり、逆に円安になれば高くなります。
ここ数年の円安局面では食料品などの価格も大幅に上昇しました。
投資先を国内に限らず海外にも広げることは、保有する資産や通貨を分散することにも繋がり、急激な円安や円高の局面においても、保有する資産に対する為替変動のリスクを分散することが可能になるのです。
まずは世界に目を向けることが大切
海外に投資をするためには、投資対象となる国の情勢を知ることが不可欠です。
知らないものに投資することは、ただのギャンブルと変わりません。
いまや世界中でボーダレス化が進み、人やモノの動きが国境を越えて活発になっています。
東南アジアでは、昨年末にASEAN経済共同体(AEC)が発足しましたし、大筋合意されたTPP(太平洋パートナーシップ協定)が発効されれば、経済規模で世界全体のGDPの約6割を占める巨大な自由貿易圏が誕生することになります。
日頃から世界で起きていることを意識することで、経済に関する感度が高まり、視野が広がることも海外に投資をすることのひとつのメリットでしょう。
次回からは、具体的な海外投資の方法についてお話ししていきたいと思います。
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