おひとりさまの老後【2009年 第11回】

【 2009年 第11回 】おひとりさまの老後 リタイア準備

 西谷 由美子プロフィール

古本屋で見つけました、上野千鶴子先生の「おひとりさまの老後」。
一人で年老いていく時のお金や友達の重要さが書かれておりました。

 

 

おひとりさまは自活して生活する女性

で、気がついたのですが、関連の書籍だけでなく、旅行、癒しグッズ等、様々な「お一人様」向けの商品が開発されています。
もっとも、この「お一人様」という言葉(「おひとりさま」は商標登録されています)、元々は2001年に事故で亡くなられた岩下久美子さんが提唱したもので、老後の話だけではなく、自立して生活する若い人を含む、一人の女性全般を指すのですが。

対して男性は?

昔は「オバタリアン」、最近は「関西のオバちゃん」などと、世間では比較的年配の女性が元気なのは有名ですよね。それに対して、年配の男性はどうでしょう?

私だけなのかもしれませんが、すぐに思い浮かんだのは「暴走老人」という本が話題になった事。著者の藤原智美氏は、暴走という言葉に象徴されるように、高齢者にも若者と同じ「キレ」る現象が増えている事を指摘されていました。その原因は、周囲が気づかない認知症以外にも、時間の流れが若者に合わせて急速に流れていること、つまり従来の年配者向けのゆったりとした空間が減少していることもあげていらっしゃいました。

年配の女性はお友達同士でおしゃべりをしたり外出をしたり、集団で過ごす事で自分たちのリズムを維持することが比較的可能なようです。レジや自販機で悠々自適の前のオバさんにイライラさせられた事、関係あるかな?
それに比べて男性は、「濡れ落葉亭主」というありがたくない言葉もあるように、友人と過ごす時間を持つのが得意な方と同じ位、苦手な方もいらっしゃるようで。

例えば明治学院大教授河合克義氏の08年度の研究では、東京都葛飾区に住む70歳以上の単身高齢者約900人に対する調査の結果、「生活に困窮する単身高齢者ほど社会的に孤立している。特に男性にその傾向が強い」だそうです。病気などの緊急時に支援者がいない人は男性37%に対して、女性は16%。また支援者がいない人のうちの35%は自分の経済状況を「苦しい」と答え、支援者のいる人の25%より高い、と。

リタイア準備は孤立して生きる可能性も考えて

さらには警察白書H21年版には「高齢者の犯罪」の中に、気になる記述があります。

「一般刑法犯の認知件数はH14年を ピークに減少に転じているが、高齢者層の増加傾向が著しい。」

「高齢犯罪者の同居状況別構成比を見ると、受刑歴あり群の77%、前科あり群の60%、前歴あり57%が単身者で、高齢初発(高齢になって初めて犯罪で検挙された)群の23%に比べて著しく高い数値である。」

「窃盗犯の犯行理由の調査では、男性高齢者については①生活困窮66%、②対象物の所有36%、③空腹であるのに対して、女性高齢者は①対象物の所有63%、②お金を使うのがもったいない59%、③生活困窮22%となっている。(複数回答可)」

NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」(代表:樋口恵子東京家政大学名教授)が「貧乏バアさん防止計画」として高齢女性の経済的困窮の撲滅を提唱していることをご存知の方がいらっしゃるかもしれませんが、女性に比べて男性は家事の経験も少なく、仕事をリタイアした後の趣味や地域での友人づくりがあまり上手でない、などとよく言われます。なんだかそれを現しているような、寂しい一人暮らしのお年寄りの姿が目に浮かぶ調査結果だとは思われませんか?

 

 

リタイア後の先の先には(考えたくないですが)、一人の時間を過ごさねばならない場合が多々あります。女性の平均寿命は男性より長いし、カップルは男性が少し年上というパターンが一般的。
でも奥様が亡くなった後だんな様がお一人で残される、という事が全くないわけでもありません。リタイア準備を考える時、将来の高齢化社会で、孤立して生きることの寂しさを、今からよく考えて将来に備えるべきではないでしょうか。

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