【 2009年 第 7 回 】金銭教育その13 子どもの教育費をどう考えるか② こどもとお金
高原 育代(タカハラ ヤスヨ)⇒プロフィール
子どもを持つ家庭にとって、教育費の負担が最大のヤマ場を迎えるのは、大学生の時期です。
大学に進学する場合、自宅から通学できる範囲内に、本人の希望する学部や学科などがなければ、自宅外通学、つまり、親元を離れて寮や下宿生活をして過ごすこととなります。
自宅外通学の場合、自宅通学と比べて、親の教育費負担が圧倒的に多くなるのは、やはり住まいにかかる費用の違いです。
大学生活の費用
2009年4月6日に、東京地区私立大学教職員組合連合が発表した「2008年度私立大学新入生の家計負担調査」を見てみましょう。この調査は、昨年春に首都圏の私立大学に入学した新入生の家庭を対象に行われたものです。
まず、受験から入学までの費用が約215万円。
受験費用(受験料その他)、住居費(家賃、敷金・礼金)、生活用品費、大学への初年度納付金など、入学までの段階で、かなりまとまった費用が必要になります。
ちなみに、自宅通学の場合は約150万円。やはり、住まいの準備にかかる費用の負担の差が大きくなっています。
親からの仕送り
実際に学生生活が始まってからの生活を支えるのは、やはり「親からの仕送り」です。
上の費用に生活にかかる仕送り額を加えると、入学の年にかかる費用は、304万6761円となっています。
これは、世帯の税込年収の33.3%。自宅外通学の家計への負担の大きさを示しています。
1ヶ月の仕送り額は、約95700円。2001年から8年連続で減少しており、ピークの1994年から比べると、29200円も少なくなっています。
一方で、家賃の平均は5万9700円となっていますが、こちらはこの10年間、ほぼ横ばいの状態が続いています。
つまり、親の仕送りのうち、家賃の支払いだけで60%を超えてしまうため、手元の生活費は36000円。計算上は、一日あたりの生活費はたった1200円ということになってしまいます。
ですから、生活費の補填あるいはこづかいに必要な金額を稼ぐため、アルバイトなどをしながら学生生活を送っているという場合も多いと思われます。
こういった調査については、日本学生生活支援機構のHPにもその調査結果が公表されています。
日本学生生活支援機構「学生生活調査」平成18年度学生生活調査結果
厳しい家計状況の中から必死のやりくりで子どもへの仕送りをしている親が多いと思われます。
家賃などの固定支出を支払った残りの限られた仕送りと、少しばかりの自分のアルバイト収入などでやりくりしていく場合、子どもはどういうことに優先的にお金を使うのだろうかということが親としては気にかかるところでしょう。
親として心配な「食」
特に、心配なことの1つが「食」ではないかと思います。
友達とのつきあいがまず一番でしょう。携帯電話やファッション・趣味など、遊びやレジャーも欠かせない。
なかなか、毎日の食生活になんて若いうちは注意がいかないかもしれませんが…。
小さいうちに、こづかいのやりくりを通してこづかい帳をつけた経験がある子どもであれば、こういった時に力を発揮できるのではないでしょうか。
限られた収入のなかで、「必要なもの」と「欲しいもの」、あるいは「今買うか、あとで買うか、買わないか」。どう優先順位をつけて、有効な使い方をしていくかというレッスンを体験したことがあるかないかで学生生活に違いがあるのではないかと思います。
大学生になって、今さら「こづかい帳」は…と思うかもしれません。
でも、大学生の一人暮らしは、「オトナの家計」に踏み出せるいいチャンス。
仕送りとともに簡単な「家計簿」をプレゼントしてみてはいかがでしょうか。
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