【 2009年 第 3 回】IMFでも救う事ができない? 資産運用
大山 潤(オオヤマ ジュン)
アメリカ発として周知の世界的金融システムの抱えるリスクが上昇し、東欧の新興国を破綻の危機に追いやっています。
金融危機の世界的な撹拌「ドミノ効果」
こうした金融危機の世界的な撹拌を、ハーバード大教授で元IMFのチーフ・エコノミストであったKen Rogoff氏は、New York Times誌で「ドミノ効果」と表現しています。「国際的なクレジットマーケットはリンクしており、東欧やバルト諸国で雪だるま式に増大する信用危機は、ニューヨークの地方債の下落を引き起こすだろう」と。
さらにこのドミノ効果は、EU諸国により深刻なダメージを及ぼすと、MONEYNEWS.COM誌が指摘しています。これまでに、フランス、イギリス、ドイツ、そしてスペインの大銀行は、リセッションに陥っていることから融資を絞っていますが、それらの銀行からの融資が東欧の経済成長の大部分を担っていたため、こうした信用引き締めがさらに傷を深くしているからです。
このような新興諸国が自国通貨の下落によって、既存融資(より強い西側の通貨建て)を返済できなくなる恐れが高まっています。ムーディーズは、東欧銀行に出資している西側諸国のオーナーが、彼らの資本引き揚げを余儀なくされていることに注意を促すとともに、バルカン諸国、ハンガリー、クロアチア、ルーマニアを、最もリスクの高い国であると名指ししいます。
IMFへの期待に対し
このような危機に際しての最後の砦として、IMF(国際通貨基金)への期待が増すところですが、残念ながらFT誌によると、東欧での金融危機に対する世界的な対応は、IMFの資金不足によって無力化しつつあり、むしろIMFは資金の枯渇を心配しているようです。
現在、IMFはすぐに利用可能な資金として1,420億ドル(500億ドルの増額が可能)を保有し、最近日本から1,000億ドルの追加融資を得る合意を取り付けています。しかし他の加盟国から、さらに1,500億ドルの追加資金提供を求めています。
こうしたIMFの呼びかけは、ベルリンで行われたEU諸国の会議やIMFの加盟国によって原則として支持されていますが、ロンドンで4月に開催されるG20で泥を塗られる可能性がある、というのがFT誌の見立てです。
新興国は、彼らが資金を提供する見返りとして基金の運営に関するより大きな発言権を要求するとみられており、例えば、ブラジル、メキシコ、中国、インドは、2013年の当初予定より前に、出資割当額の見直しと、議決権のウェイト変更を要求しているようです。
FT Lack of funds hits IMF in east Europe:http://www.ft.com/cms/s/0/d7ed233a-0110-11de-8f6e-000077b07658.html?nclick_check=1
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