伊豆の海~雲見編【2009年 第 5 回】

【 2009年 第 5 回】伊豆の海~雲見編 「海の中」の世界

 佐藤 涼子(サトウ リョウコ)

「何を目的にダイビングをするのか?」
これは、ダイビングをする上で非常に大切なことです。

例えば、ソフトコーラルやフィッシュウォッチングを楽しみたい!
いやいや、やっぱりカメラを持ってお気に入りの一枚を撮るんだ!という方もいます。
どちらも楽しいなと思うのですが、実は私は地形を楽しみたい「地形派」です。

地形を楽しむ

しかし、海の中の地形を楽しむって?と思われる方も多いと思います。
有名なスポットとしては、沖縄・与那国島の「海底遺跡」と言われているポイントがあります。水深30メートルほどのところに、まるで人が作ったかのような「遺跡」があるのです。
古代ピラミッドに見るような、階段まであります。その真相はいまだベールに包まれたまま・・・。
自然が生み出した代物なのか、やはり人の手で造られた遺跡なのか。なんだかロマンが広がりますよね。

地形を楽しみたい!と思っても、そのポイントは限られます。皆さんは首都圏からほど近い、伊豆の海で地形を楽しむことができることをご存知でしょうか?

雲見の魅力

観光で有名な西伊豆・堂ヶ島の先に、雲見温泉はあります。雲見海岸から沖に大小二つの島が見えます。これを牛着岩(うすづきいわ)と言います。
何とも不思議な名前だと思われる方も多いと思います。この岩には、このような言われがあるのです。

昔、暴風雨があり、雲見一帯は大洪水になりました。民家や家畜の多くが海に流されてしまいました。しかし、明くる朝、港の正面の岩に牛が流れ着いていて、その牛は無事でした。それ以来、雲見の人たちはこの岩を牛着岩と呼ぷようになりました。
今でも人々は、向かって左側の大きい岩を「大牛(おおうす)」、右側の小さい岩を「小牛(こうす)」と呼ぴ、鳥居を建ててしめ縄を張り、港と船の安全を祈願しています。

この牛着岩の下には、自然が作り出したケーブやアーチ、クレパス、巨大なホール状の空間など迷宮(ラビリンス)のような神秘的な世界が広がります。アーチや洞窟の数は一日ではまわりきれないほど多いです。ここを潜ると、まるで海の中を探検しているかのような感覚になります。

アーチには、美しいソフトコーラルが群生しています。アーチの向こうは美しい青色。特に晴れの日に太陽の光が差し込むと、うっとりするような「青い世界」です。

雲見のダイビングスタイルは、ボートダイビングです。船酔いが心配という方も大丈夫!なぜなら、ボートの発着場所から約2分で牛着岩まで行くことができるからです。
しかも、更衣室、シャワーや休憩所のある場所から数歩でボートの発着場所まで行くことができる、「楽々ダイビング」ができる場所でもあります。これなら、ダイビング機材が重くても大丈夫ですよね。

雲見の海の魅力は、多くの魚影を見ながら地形も楽しむことができること。

温泉も楽しめる

そして、天然温泉があるので、アフターダイブに温泉に入れるのも魅力の1つです。また、雲見には民宿が多く、美味しい新鮮な魚介類をいただくことができます。
どこか昔懐かしい雰囲気の漂う漁師町で、ゆったりとした時の流れを楽しんでみてはいかがでしょうか?

【参考】松崎町役場HP、Marine Diving2007年11月号

写真1枚目は牛着岩、2枚目はクレパスです。

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