【2013年 第3回 ライフプランから見たフリーターの今後(60代まで)】
”フリーター”親子のライフプラン、キャリアプランへの影響
岡田 佳久(オカダ ヨシヒサ)⇒ プロフィール
ライフプランを考える上では、お子様がいらっしゃる家庭であれば、お子様が学校を卒業した後は就職し、その後、自立していくといった考え方が一般的です。しかし、現実は、そのような状況にならない場合も増えてきているのです。
“フリーター”は、他人事ではないとともに、お子様がフリーターになった場合、親子共々のライフプランに大きく影響します。
■正社員とフリーターの累積年収を比較すると・・・
第1回目のコラムにて、フリーターの平均年収は約100万円といったお話しをしましたが、一生涯の収入を比較した場合、正社員とフリーターの差はどのぐらいあるのでしょうか?
<図表1>は、正社員(高卒)とパートタイム労働者の累積年収を比較したものです。
59歳までの累積年収を比較すると、その差は約1.1億円の差になっています。これが、大卒の正社員となると生涯年収は2億円~2.5億円と言われていますので、その差は1.5億円~2億円になります。
正社員とパートタイム(フリーター)では、25歳までであれば、あまり大きな差はありませんが、25歳以降に徐々にその差が開いていきます。これは、正社員の場合は、一般的に年齢とともに年収が上昇していきますが、パートタイムの場合は、ほとんど年収(時給)が上昇していきません。
今後、正社員の平均年収は、減少する傾向が予想されていますが、正社員とパートタイムの年収がほぼ同じになることは考えにくいと思われます。
■親と同居している間は、何とか生活できるが・・・
正社員と比較すると、フリーターは、収入の面で非常に厳しい状況にありますが、親と同居しているのであれば、何とか生活していくことは可能かもしれません。
しかし、親はいつまでも金銭的な面倒を見てくれるわけではありません。将来、親が亡くなった時に、自分の収入だけで生活していくのは難しいでしょう。例え親の遺産相続があった場合でも、根本的な部分に関しては変わりません。
生涯年収が5,000万円前後である場合、住宅を購入することは、現実的に不可能です。親から遺産相続で取得した住宅であっても、築年数が経過しているため、改修に関する費用がかかります。
そして、将来、結婚するとなった場合、結婚相手がある程度の収入があれば問題はないのかもしれませんが、フリーター同士での結婚も多く見受けられます。フリーター同士で結婚することは何ら悪いことではありませんが、結婚後、子供を産み、育てていくとなった場合、教育資金の確保は非常に難しくなってしまいます。
さらに、老後の生活資金の確保も難しくなってしまいます。
このように、親の遺産相続があった場合でも、遺産相続の金額にもよりますが、1億円以下の遺産であれば、時間の経過とともに食い潰してしまうことになってしまいます。
■なかなか貯蓄ができない・・・
親と同居している間であれば、何とか生活できたとしても、毎月、約15,000円の国民年金保険料を支払うのも難しい場合が多いでしょう。さらに、なかなか貯蓄をすることもできません。
貯蓄がなければ、フリーターに限ったことではありませんが、ライフプランの変化に対応することができません。
例えば、病気やケガをした時に医療費がかかります。健康保険制度により、かかった医療費の3割の自己負担で治療を受けることができます。さらに、1ヵ月の医療費が一定金額以上になると、高額療養費の制度もあります。しかし、毎月、ギリギリの生活の場合は、それでも医療費を支払うのが大変になってしまうことがあります。
そして、病気やケガにより、仕事を休んだ場合、正社員の場合であれば仕事を休んでいる間は、傷病手当金制度がありますが、フリーターの場合は傷病手当金がありません。さらに、時給でお給料が計算されるフリーターの場合は、、入院や治療を受けている間は、健康だった時と同じように働くことができませんので、収入が大幅に減少する、またはまったく収入がない状況になってしまいます。
■年齢を重ねるごとに、生活が厳しくなる
収入がなかなか増えない、親からの援助も徐々に難しくなるということから、フリーターのライフプランは、年齢を重ねるごとに、生活が厳しくなっていく傾向にあります。
生活がかなり厳しいといった状況に直面した時点では、改善するための対策が限られてしまい、手遅れになってしまう場合が多くなっています。今、何とか生活ができているので“将来も大丈夫”という訳ではありません。
この記事へのコメントはありません。