【2013年 第3回 シングル女性の病気やケガへの対策】女性のための社会保険アドバイス
菅野 美和子 ⇒プロフィール
シングルをひとことで表現すると「他にかわってくれる人がいない」ということです。両親といっしょに暮している場合も、いつかひとりになるときが… だからこそ、自分の病気やケガなどのリスクに備えることが大切です。シングル女性のリスク対策についてお話します。
病気やケガへのリスク対策
シングル女性に限りませんが、病気やケガへのリスク対策は元気なうちにしておきたいものです。
基本的には、公的保険でどのような保障があるかを確認し、不足を自助努力で準備していきます。
サラリーマンやOLは、勤め先で健康保険に加入しています。健康保険では、病気になったときに3割負担で治療を受けられるばかりではなく、病気やケガで仕事を休み、給料が出ないときに給付金が受け取れます。
ごく短期間の病気休業なら年次有給休暇を使えるでしょう。フルタイムで半年継続して勤務すると、10日の年次有給休暇が発生します。
長期の療養になると、有給休暇だけでは足らなくなります。そのときには傷病手当金を利用します。
傷病手当金とは、健康保険からの休業保障です。傷病手当金では、おおよそ給料の3分の2程度の給付金が受けられます。
ただし、支給期間は1年6ヵ月までですので、それ以上の保障は健康保険から得られません。
1年6ヵ月経過して、なおかつ病状が悪く、さらに療養が必要となれば、障害年金の請求を考えてみましょう。
保険料の納付状況や障害の程度などの要件を満たすと、障害年金が受け取れます。
このようにして、健康保険や厚生年金保険からの保障がありますが、あくまでも勤め先で社会保険に加入していることが前提です。社会保険に強制加入とならない小規模な個人事業所に勤めている人は、国民健康保険へ加入します。市区町村が運営する国民健康保険には、休業保障はありません。
公的保険からの保障を確認した上で、不足分を準備しましょう。
生活費や医療費をあわせた必要額から傷病手当金を差し引いた額を医療保険などで準備するといいでしょう。公的保険からの保障は、ある程度は頼りになりますが、全面的に頼れないと理解してください。公的保険だけでは、ひとりの生活であっても、医療費や生活費のすべてをカバーできません。
病気やケガへは、保険ではなく貯蓄で備えるという方法も考えられますが、貯蓄の少ない若い世代は、保険で手当しておくのが現実的です。シングル女性も1人分の給料で生活していくわけですから、ある程度の貯蓄には時間がかかります。だからこそ、保険を上手に活用しましょう。
医療保険については様々なタイプがあります。平均的な入院期間はだんだんと短くなってきています。入院保障だけでは、長引く自宅療養期間には対応できません。給付金を一時金で受け取るタイプの保険も合わせて検討してみてはいかがでしょうか。
医療保険の他に所得補償保険もあります。所得補償保険とは、病気やケガで仕事ができなくなった場合の収入減を補う保険で、給料のように毎月受け取ることができるタイプです。
シングルで生活していく場合は、他の家族がお金を補ってくれるわけではありません。生活費や医療費の他、家事代行などを依頼すれば、さらにお金がかかるもの。
シングル女性は、自分で自分を守っていかねればなりません。
だからこそ、所得補償や医療保障を考えておきたいですね。死亡保障については相続対策や特別なことがなければ、とりあえず、死後整理金程度が残れば十分。ライフプランに変化があったときに見直しましょう。
公的保障を基本に自助努力で上乗せをというお話をしましたが、注意点もあります。
健康保険からの傷病手当金も、働き続ける場合には保障として頼りになりますが、退職するとその後の保障は得られません。
将来は独立開業したいと希望を持つ女性もあるでしょう。法人を立ち上げれば別ですが、自営業を始めたとたんに公的保障が不足状態に陥るので、今後のプランをよく考えて、準備をしておくことが必要です。
シングルという生き方には可能性がたくさんあります。自分自身の夢を実現できる生き方であるとも言えますが、生活を支えるため、様々なリスクへの対策も考えておきましょう。
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