【 2009年 第10回 】病気での通院だってお金がもらえる保険 フランス気分
横川 由里(ヨコカワ ユリ)⇒プロフィール
ミチュエルと呼ばれる任意加入の互助健康保険
正確にいうと、医療保険ではなく互助健康保険と訳したらよいでしょうか。
国民健康保険は強制加入ですが、ミチュエルと呼ばれる互助健康保険は任意で加入します。
先月お話したとおり、フランスの健康保険の自己負担は30%と日本と同じです(原則)。
ミチュエルに加入するとこの自己負担分、“30%”を補てんしてくれるんです。入院はもちろん、通院だってOKです。
簡単にいうと損害保険会社から発売されている医療費用保険に近い考え方となります。
ミチュエルの保障
フランスの医療費は、医者によって料金が違うのですが、そこのところもちゃんと考えています。
ミチュエルには100%保障、200%保障、300%保障などがあり、医療費の高い医者に通いたい人は高い保険料を払ってでも、300%保障に加入することになります。
たとえば、基本医療費3,000円 自己負担900円 100%保障のミチュエルに加入しているときは、自己負担分の900円を受け取ることができます(ケース1)。
一方、基本医療費は3,000円ですが、6,000円の医者にかかった場合の自己負担は、900円とはみ出した3,000円を合わせて3,900円です。このとき100%保障のミチュエルに加入していると、ケース1と同じように900円を受け取ります。
では、自己負担分の全額、3,900円を受け取りたい場合はどうしましょう?
その場合は、200%保障のミチュエルに加入します(ケース2)。
近視や遠視は病気
もうひとつの特徴は、メガネ。メガネを作るためには医者に行かなければダメなのです。街角で素敵なメガネ屋さんを見つけたとしても、すぐにメガネを作ることはできません。
なぜ?
近視や遠視などは、病気だからです。
まず、病院へ行き視力を測ったり、検査をしたりしてから、処方箋を持ってメガネを買いに行きます。
そして、メガネ屋さんから言われることは?
「マドモワゼル、あなたはこの棚からメガネを選んでください」
「???」
私は別の棚にあるメガネがほしい。
「それは、300%保障のミチュエルに加入している人が選ぶ棚です。あなたは200%保障なので、こっちの棚。もし、どうしても、そのメガネがほしいのであれば、はみ出した分の料金を払ってもらいます」
なるほど!ランク分けがあるのです。
なんか、釈然としない気持にもなりますが、子どものころから目が悪い私は助かります。
もちろん、コンタクトレンズにもミチュエルがききますよ。
視力が悪い人が少ないからこそ、存在する制度ですね。
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