【2008年 第6回 気づいてますか?もうひとつの「値上げ」】地域コラム 近畿
高原 育代(タカハラ ヤスヨ)⇒ プロフィール
私は甘いモノに目がありません。家事や仕事のあいまに口にするチョコレートなどは、体重を気にしつつも、どうしてもやめられないんですよね~。そんな私が購入するのは「小袋食べきりタイプ」。ところが、先日、ふと気づいたことがあります。「アレっ、前はたしか5本入りだったはずなのに、4本しか入ってないゾ…」。
このところ身の回りは「値上げ」の話題ばかり…。
毎日の家計を預かる主婦としては頭を痛めながら、少しでも安いものを求めてやりくりをがんばっているわけですが、こんな「値上げの落とし穴」があること、みなさんはお気づきでしょうか?
小麦粉など食料品に欠かせない原材料費が高騰していることに加え、原油価格も高騰しつづけているため、メーカー側の企業努力だけでは抑えきれないということでの価格上昇。
でも、あまりに急激な値上げをすることは、消費者離れを呼ぶことにもなりかねないため、メーカーもおそるおそる…ではあるのです。
そこでひそかに増えているのが、「価格はそのまま、でも容量減」という、もう一つの値上げなのです。
そういえば…と思い当たることはありませんか?
以前なら1パックに10枚入っていたスライスチーズは、各社とも8枚入りになっているものが多いようです。
こういう枚数で減っているものはまだわかりやすい方ですね。チョコレートやポテトチップなどの菓子類で多いのが、実は量目で減らすというもの。
つまり、以前なら100グラム入っていたのが、90グラムに減っているという場合。こちらは、私たち消費者にとって「実質値上げ」が気づきにくいといえるのではないでしょうか。
私が気づいたチョコレートの場合で考えても、もしこれがグラム数で減っていたのなら気づかなかったかもしれません。
小袋1パックの本数が5本から4本だったから、「アレっ」と思ったのでしょうね。
毎日の暮らしにかかわる身近な商品の値上げに対して、なんとかやりくりで対抗しようと、日々奮闘している私たちは、今、「価格」に対して敏感になっています。
そういう時に、こういった「価格はそのまま容量減」タイプの値上げは、なんだか“だまし討ち”にあったような気分がしないでもありません…。
唯一、前向きにとらえるとするなら、日本全国メタボリック症候群を気にするこのご時世。
食べ過ぎを防いでダイエットするにはグー!?といったところでしょうか。
ただし、1つの容量が少ないために、「なんだか物足りないなあ…」ともう1つに手が出てしまっては、お腹のためにもお財布のためにもなりませんのでご注意を。
ところで、この「隠れた値上げ」は食品だけではありません。
今後は、洗剤や紙オムツなどの日用消耗品などにも及んでいくことが発表されています。
例えば、洗剤なら1箱1.1キロのものを1キロに減らす、紙オムツなら1パックの枚数を減らすといった具合です。
ただし、こういった商品の場合は、単に量目を減らすだけでは、消費者の反感を買わないための苦肉の策ともいえるのでしょうか、洗浄力や消臭力を高めるといった機能向上をあわせて、商品リニューアルと併せて行われるものが多いようです。
ですから、パッケージが一新されているものの場合は、「隠れた値上げ」であるかもしれません。
原材料費が高騰していることは事実ですし、多少の値上げもやむなし…という側面はあります。
私たち消費者ができることとしては、洗剤の使用量を減らしてエコ生活を心がけるなど、せめて前向きにとらえることでしょうか。
その一方で、実質的な値上げを消費者がナットクできるような、製品の品質や機能そして安全性の向上といった付加価値の部分をメーカーさんたちに期待したいところです。
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