【2008年 第8回 【金銭教育その2】子どものこづかい…「学年×100円」という目安に意味はあるのでしょうか?】地域コラム 近畿
高原 育代(タカハラ ヤスヨ)⇒ プロフィール
「子どもの金銭教育」というと、まず「こづかい」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
たしかに、こづかいは、子どもがはじめてお金を扱う第一歩としての重要な位置づけを担うものだといえます。
が、いざとなると、「いつから」「どのくらいの金額を」「どんなペースで」「どんな約束をした上で」など、具体的な疑問を持たれる方も多いのも事実でしょう。
7月に、地元京都新聞の家庭面で「子どもの金銭教育についての特集を記事にしたいので…」ということで取材を受けました。
記事としては、子どもたちに金銭感覚を身につけさせるために「こづかい制度」をどう活用すればいいのかということを考えてもらうための一提案といった形で掲載されました。
小・中学生がおられる家庭でのこづかいに関する事例の部分と、ファイナンシャルプランナーとしての私が、まとめの意見を述べる部分とで構成されました。
あらかじめ記者の方が聞き取り調査をしておられた数件の家庭の事例は、実際にこづかい制度を実施している家庭もあれば、気になっていながらもなかなか始められていない家庭もありました。
始めている家庭での現状(1ヶ月の金額や、こづかい帳の管理、お手伝いという労働とこづかいの関係など)や始められない家庭の理由(両親が忙しいので細かく関わることができない、子どもが物をねだることがなくこづかいの話題が出たことがないなど)などを伺い、それらに対する私の考えなどをお話しする形で取材が進みました。
今回の取材を通してあらためて感じたこと。
それは、一般的に、こづかいを制度として活用していくときに、最も関心が持たれ、また最初のハードルとなるのが「金額」なのかもしれないということでした。
たしかに、いざ「子どもにこづかいを…」となったときに「ではいくら?」となりますから、なんらかの目安をよりどころにしたい気持ちはわかります。
そこで登場するのが、「学年×100円」というものです。
コレってどうなんでしょう。
確かに、公式的にあてはめやすく、計算の結果も小学生には手頃な感じの金額となるからか、ずいぶん昔から使われているような気がします。
私自身も、初めてこづかい帳をつけた小学校低学年の頃、やはり300円がスタートだった記憶があります…。
でも、それは30数年!も前のことです。社会は大きく変化し、当然、同じ金額で買えるものにも違いがあります。
そういった社会の変化の問題だけではなく、そもそも、この横並びの感覚で、こづかいの金額を決めることに本当に意味があるのでしょうか?
本当に考えるべきことは「こづかいによって、子どもに何を学ばせたいのか」という目的だと思いますし、具体的に金額を決めるなら「何をこづかいの範囲として任せるか」ということを考えてほしいと思います。
結局…。今回、記者の方から「どうしても『目安』になるものがないと決められないという人が世間には多くて…『一概に言うことはできません』では記事として困るのです」という強いご要望で、記事中に「1つの目安」として載せることとなりました。
私としては、「せめて『あくまでも』ということばは入れてほしい」と最終の確認段階でもお願いしたのですが、スペースの都合上ムリ…ということに。
読まれた方にくれぐれも誤解がないことを祈りつつ…。
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