【2008年 第10回 国会議員1人当たりに必要な金額って】地域コラム 九州・沖縄
西谷 由美子(ニシタニ ユミコ)⇒ プロフィール
この原稿を書いている頃、福田首相から麻生太郎新首相へとバトンタッチ。けれど組閣も終わらぬうちから、次の話題は、解散総選挙がいつになるのか、で喧々諤々です。衆議院議員総選挙は、小泉内閣での「郵政解散」以来ですね。
で、思い出すのが「あの選挙で初当選の新人は“小泉チルドレン”と命名されてたなぁ。」という事。強烈な印象を残した小泉チルドレンの1人は杉村太蔵議員。タイゾー議員といえば、当選直後「議員報酬2000万ですよ・・・料亭で宴会ですよ・・・」などと発言し、その後ヒンシュクを買ったことを、つい思い出してしまいます。すいません、その後はしっかり議員活動されていらっしゃいますよね。
で、2000万円についてなのですが、
憲法第49条 両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当の歳費を受ける。
歳費は毎月130万1千円。これに加え「期末手当」が6月に301万8320円、12月に330万1287円があり、年収としては2193万円。庶民から見るとうらやましい金額かも。
でも、これだけでないのはご存知でしょう。一時期、支給した後で寄付として戻させていたことが話題となった「秘書給与」。公設秘書として2名、政策秘書として1名、合計3名の給与も国庫から支給され、これは年合計約2600万円。3名から先の秘書の方は「私設秘書」という事で議員さんの自腹らしいです。
事務所の経費的に「文書通信交通滞在費」も毎月100万円支給されます。経費扱いなので所得税の対象とならないとか。他にもJRのパス、グリーン車乗り放題ってのがあります。石破農水相は鉄道オタクでもあり、地元に夜行列車で帰られるというのは知ってますが、他の皆さんは使われてるのかなぁ?そうそう、地方選出の議員さんが月4回分の無料航空券を支給されるというのもありますね。タラップから降りると赤じゅうたんが敷かれるという。
また、所属する各会派・政党には「立法事務費」として議員1人65万円が支給されます。多くの政党ではこれを職員の人件費としているそうです。あら、無所属の人は個人で管理しているのかな?
支給される現金にばかり目が行きがちですが、ちょっと前に豪華すぎると話題になった「議員宿舎」。都心・赤坂の3LDK(80平方m程度)に家賃約9万2千円。ここから国会議事堂までは国会開会中、専用送迎バスがあり、もちろん無料。
宿舎と別に事務所として議員会館もありますよね。40平方mと狭いのですが、電話・水道光熱費が無料です。なのに高額の経費を計上し「ナントカ還元水」で物議をかもした事件の舞台となりました。雑誌報道によると、この会館裏手にはフィットネスジムがあり議員・秘書に利用が制限されている、というのは知りませんでした。
一説によりますと、国会議員1人当たりでは諸々を含め、3億円強の金額となるそうです。天下国家を論じてほしい国会議員の方々です。お金に困れば、後ろ暗いお金、理不尽な要求、悪への道を転がり落ちてしまい国民の請託を裏切ることになるでしょうから、高い報酬も私は当然だと思います。けれどそれはキッチリ仕事をしてくれることが前提。「私利私欲とは無縁の人に投票したい。」困難な状況に直面する日本、次回の選挙に対してそう思える金額ですね。
参考文献:「政治の数字」 伊藤惇夫 著 新潮新書
SAPIO 10/8号 小学館
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