【2008年 第5回 田舎暮らしのホントのトコロ「田舎暮しの仕事事情」】地域コラム 中国・四国
キムラ ミキ
前回は、田舎暮しの一つのカタチであるIターン、Uターンについて考えてみましたが、今回は田舎暮しにおける仕事事情について考えてみたいと思います。
まず、地方の就業状況がどうなっているのか…という点から見てみたいと思います。
労働力調査(総務省が行う調査。15歳以上人口について、就業時間・産業・職業等の就業状況、失業・求職の状況など、月々の就業・失業の状態を把握することによって、就業者数、完全失業者数、完全失業率などの景気判断や雇用対策等の基礎資料となる結果を提供するもの。)における平成20年1月~3月期平均結果によると、中国地方(鳥取県,島根県,岡山県,広島県,山口県)の完全失業率は3.7%。完全失業率の全国平均は4%、南関東(埼玉県,千葉県,東京都,神奈川県)では3.7%であることを考慮すると、地方だからと言って完全失業率に大きな差はないといえます。
次にどんな産業に従事しているのかという点について、平成17年国勢調査の調査結果を見てみましょう。
全国、東京都、鳥取県の3つのエリアの結果を比較してみると、地方といえば、第1次産業(農業や漁業、酪農業等)のイメージが強い方もいらっしゃるかと思いますが、いずれのエリアでも、第1次産業、第2次産業、第3次産業のうち、第3次産業に従事している人が7割近くを占めています。
より具体的に産業を分類すると、どのような特徴がみられるでしょうか?
特に東京都と鳥取県で比較した時、各産業に従事している人の割合に大きな違いがみられた産業には、情報通信業(通信や放送、出版や情報サービスに関係する業種)と不動産業があげられます。
やはり、情報や人口が集中している東京都であればこそ、情報通信業(通信や放送、出版や情報サービスに関係する業種)と不動産業に従事する人の割合も自然と多くなる…ということなのでしょう。
その他の産業においては、確かに従事者実数を比較すれば大きな差がありますが、全体の就業者からみた各産業従事者の割合においては、全国、東京都、鳥取県での大きな差は少ないようです。
とはいえ、2008年3月時点での全国の有効求人倍率は0.95倍。一方、鳥取県における有効求人倍率は0.68倍。景気回復局面との声もかすかに聞こえてくる一部エリアもあるものの、まだまだ地方では景気回復の足音は遠いのも事実。
手放しで、Iターン、Uターン等におけるお仕事事情を楽観視することはできないようですが、これはあくまで公共職業安定所(ハローワーク)に登録されている企業の有効求人数で集計されているものです。求人は、公共職業安定所等の表面に出ている求人だけとは限りません。つまり、急いで求人を行うわけではないけれど、「いい人がいたら…」と内々にネットワークを通じて話を回していることも考えられるわけです。そのネットワークの一つが、各自治体で設けられているUターン、Iターンの相談窓口。Uターン、Iターン等を検討される際には、一度相談されてみることをお勧めします。行政のもつネットワークを活用して、条件に沿った就職先を探してもらえる可能性もあります。
しかし、当然のことではありますが、相談に行く前に、何を求めてIターン、Uターン等を考えているのか、どのような仕事をしたいと思っているのか等々、自分なりに整理しておくということはお忘れなく!
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