【2008年 第11回 田舎暮らしのホントのトコロ 「言葉の壁」】地域コラム 中国・四国
キムラ ミキ
その土地に馴染む中で、まず突き当る壁が言葉でしょう。いざ田舎暮しを始めたときに、方言に戸惑った…という方は少なくありません。方言をマスターしなければ生活ができない…というわけではありませんが、方言の意味が分かり、ご自身でも使えるようになる方が、ご近所づきあいの深まるスピードは高まると思います。
それはなぜでしょうか?田舎暮しに限らず、日常生活の中で、仲間内でだけ通じる省略語や用語などを使って話しているとき、「仲間」意識が湧いたりしませんか?逆に、仲間内でだけ通じる省略語や用語を知らない新入りの人や部外者がいた場合、別に誰にでもわかる単語で話せば通じるのに、「お前、そんなことも知らないのかよ?」と思ったりしたことはありませんか?
方言もその状況に似ています。その土地に住んでいたら当然のように知っている言葉。その言葉に「???」を浮かべる人がいたら、分かるように標準語に言い換えてくれるでしょうが、「ああ、この人はよその人だ」と認識されます。よく、一般的に方言はかなり年配の方でないと使わない…といわれますが、正直なところ、どれが方言でどれが方言でないか、あまりに日常的なものすぎて分かっていないのでは?と私は、思います。
例えば、わたしが関東に上京した頃、「きのう、のみすぎたから、えらいわー」といったことがあります。これを標準語に直すと「昨日、飲み過ぎたからだるいなー」という意味になるものなのですが、言葉を発した時点では方言であることに気付いていませんでした。友人が「何が偉いの?」と聞かれて、これは方言なんだ…と初めて気づきました。今まで地元であまりにも日常的に使っていた言葉なので方言であるということに気づいていなかったのですね。また、このように言葉自体が異なる方言でなくても、その地域において特徴的なイントネーションや語尾(関東における「~じゃん」のようなもの)などは年配であるか否か関わらず、使っているものです。
とはいえ、日本語は日本語。その土地の文化に馴染んでいきたいという気持ちさえあれば、言葉に慣れるまでにさほど日数はかからないと思います。実際、私も四国のとある県のイベントにハマっていた時期があり、イベントで知り合った地元の方と仲良くなりたいという気持ちがあったからでしょう。あっという間に、その地元の言葉で会話を交わしていました。
要は、皆さんが「その土地の文化に馴染んでいきたい」、「ご近所の方と仲良くなりたい」等の気持ちをもっているかどうかで、言葉の壁をクリアできるかどうかは決まってきます。
「いやいや、田舎暮しは自分の世界にどっぷりとつかりたいから…、ご近所づきあいはちょっと…」と思われる方は、田舎暮しの検討自体を再考される必要があるかもしれません。
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