地方における教育費【2011年 第4回】

【2011年 第4回】 地方における教育費 ~家計コラム 教育費(地方)~

キムラ ミキ  ⇒ プロフィール

地方から高校卒業後に進学を考える場合に、大きくかかると想定される費用の内訳について、今回は、学校が始まった後の生活費用について考えてみたいと思います。

 

生活費はどれくらいかかるの?

日本学生支援機構の行った、平成20年度学生生活調査によると、平均で約67万円(年額)の生活費がかかるとの結果が出ています。この調査では、居住形態(自宅、寮、アパート)および大学の経営主体(国立、公立、私立)による分類も行っていますので、詳細を見てみましょう。

自宅から国立大学に通った場合の生活費の平均は約36万円(年額)、また自宅から私立大学に通ったとした場合でも、生活費の平均は約39万円(年額)。娯楽嗜好費にやや差はあるものの、大きな違いはありませんでした。
月額にすると、約3万円ほどですので、娯楽嗜好費は本人のアルバイトなどでカバーしてもらえば、進学によって特段、生活費に影響を与える金額でもないようです。

しかし、地方から進学を考える場合、県外進学の可能性が大きいことは前回までにお話したとおりです。つまり、自宅からの通学ができない可能性も大きいということ。
その場合、アパートなどを借りて学校に通うことになり、生活費は平均で約104万円(年額)かかるとの結果がでています。この金額は、進学先が国公立または私立であっても大きな違いはありませんでした。

自宅から通学する場合とアパートなどを借りて通学する場合の生活費の差は約70万円。この差を生む一番大きな要因は、やはり住居費のようです。住居費は、進学先のエリアにもよりますが、平均で年間約50万円弱との結果が出ています。
また、食費も若干、金額に影響を与える要因と言えます。外食やコンビニなどでのお弁当購入などの機会も増えるでしょう。また、私自身も学生時に自炊の経験がありますが、自炊をするにしても食材を使いまわすほどの自炊の腕前がなければ食材をダメにしてしまうなど、割高な自炊になることも考えられます。

結局、いくらくらいかかる?

前回は、学校が始まる前にかかってくる進学に関するお金について考えていました。その金額を振り返ってみると、新生活が始まる前にかかる費用は約130万円。この金額には、学校へ納付する授業料等は含んでいません。
また、今回考えてみた生活費等の合計(4年間)約420万円と合わせると、進学準備費、および生活関連費で約550万円かかる計算になります。

その550万円のうち、新生活を始めるための住居費や移動費等は、都市部から進学を考える場合には、考えなくても良い場合が多いと考えられます。つまり、地方部から進学を考える場合には、都市部から進学を考える場合よりも、少なくとも約100万円多く進学費用を準備する必要があるということになりま す。

費用をどう準備するか

進学費用は都市部よりも多く準備しなければならない一方で、都市部と地方部の平均的な収入には差があるのも事実です。場合によっては、積立等で準備するだけでは必要な金額を整えることが難しいこともあるかもしれません。

ただ、地方部からの進学だからこそ、利用できる制度などもあります。例えば、地方自治体が運営主体である奨学金や学生寮。次回はそれらの制度について、具体例を交えてお話していきたいと思います。

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