地方における教育費【2011年 第5回】

【2011年 第5回】 地方における教育費 ~家計コラム 教育費(地方)~

キムラ ミキ  ⇒ プロフィール

前回までに、地方から高校卒業後に進学を考える場合は、一般的にかかると言われる費用よりもやや多めに費用準備をしておくことが必要であることについてお話をしてきました。

お子様が生まれたころから、教育費の準備のためにコツコツと積立されている方も多いですよね。しかし、積立の目標以上に費用がかかることになった時に備えて、今回のコラムでは積立に加え、地方からの進学だからこそ利用できる制度についてみてみたいと思います。

奨学金

まずは奨学金について考えてみましょう。奨学金といえば、独立行政法人である日本学生支援機構が行う奨学金制度が思い浮かびます。この奨学金制度は、第 一種奨学金(無利息)と第二種奨学金(有利息)の大きく2つに分けられます。

第二種奨学金は、貸与希望額を自らで選択することになりますが、第一種貸与を受けられる金額は、「国公立・私立」、「自宅通学・自宅外通学」の別によって貸与を受けられる金額が異なります。
国公立大学の場合、自宅通学であれば45,000円、自宅外通学となると51,000円の貸与を受けることができます。この奨学金は国が運営主体となっていますが、地方自治体独自に奨学金制度を設けている場合もあります。

例えば、鳥取県の場合、大学などに進学する高校生を対象にして、無利息の「鳥取県育英奨学資金」制度を設けています。先ほどお話をしていた日本学生支援機構が行う奨学金制度(第一種奨学金)では、「高等学校又は専修学校高等課程の1年から申込時までの成績の平均値が3.5以上」という条件がある一方、 「鳥取県育英奨学資金」制度を受けるための条件は、「学業成績平均 3.0以上」とやや緩やか。

貸与を受けられる金額は、国公立の大学等で月額45,000円、私立の大学等で月額54,000円となっていますので、日本学生支援機構が行う奨学金制度(第一種奨学金)と比べても遜色ありません。
ただし、この制度は貸与の1年前から保護者等が鳥取県内に在住していることが条件です。

利子補給

奨学金以外にも、鳥取県では「鳥取県大学等進学資金助成金」という制度を設けています。これは、進学のために金融機関から借用した資金の利息の一部を助成するというものです。

大学進学の場合、50万円を借入期間10年で、教育一般貸付の貸付利率または2%のいずれか低い方の金利で借り入れた場合の利息が、助成金額の上限となります。
この制度の申請は5月下旬が締め切りとなっていますので、新年度に入っても間に合います。奨学金の申請は一般的に高校在学中などに予約申請するケースが多いので、急きょ教育資金を借り入れることになった場合には、ありがたい制度といえるかもしれません。

学生寮

各自治体では、都市部に学生寮を運営している場合があります。鳥取県の場合、東京に男子寮と女子寮があります。

男子寮は、東京都世田谷区成城にあり、机や洋服ダンス、エアコンなどが既に設置されていますし、朝夕の食事もついて月額負担は約46,000円ほどです(寮費月額25,000円、食費月額15,000円、一時金〈2年分〉107,000円)。
また、女子寮も東京都豊島区目白にあり、男子寮、女子寮ともに通学アクセスにも恵まれた立地にもかかわらず、低廉な費用で利用できるので進学期間中の生活費の軽減がはかれます。
その上アパートなどでの一人暮らしと異なり、防犯面でも安全です。また、同郷の人との交流もはかれるため、慣れない土地での生活に対する不安も軽減されるものと思います。

このように、地方からの進学だからこそ利用できる制度もいろいろあるモノです。今回は鳥取県を例にとって、具体例をみてみましたが、みなさんのお住まいの自治体でも同様の制度が設けられていると思いますので、ぜひ探してみてくださいね。

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