【2005年 第1回】[年末調整]年末調整のポイント 年末調整の秘密?
佐藤 名ゝ美(サトウ ナナミ)⇒ プロフィール
私が『年末調整』という言葉を初めて聞いたのは、17年前のいま頃の時期だったと思います。
最初の会社に就職しておよそ半年、社会の仕組みなんて、な~んにもわからない地場企業のOLだった私の「何を調整するのかしら?」という疑問に対して、先輩OLは「12月はいつもの月より給料が増えるのよ」と、分かったような分からないようなレクチャーをしてくれたものです。
また貯金できる!
当時、貯蓄が趣味だった私は、それがどう“調整”なのか分からないまま、「ラッキー!また貯金できるわ」と、この年間行事をとりあえず歓迎したものでした。
当たり前の話ですが、一般事務に携わるごく普通のOLにとって、「残業が増えた」などの理由もなく、ある月だけ給料が増えるなんて話はもちろんありません。
また、場合によっては、年末調整があることで12月の手取り収入(ボーナス除く)が減ってしまうケースもあるわけで、先程の先輩OLの説明は正しいとは言い難いですね。
では、年末調整とは何なのか、最初の疑問にたちかえってご説明させていただきます。
年末調整とは
日本の税法は、基本的に「収入の多い人がより多く税を負担して下さいね」という『超過累進課税制』を採っています。
ちょっと古い話になりますが、2年程前のTVドラマで、江角マキコさんが演じた“マルサ!!東京国税局査察部”の円谷加音子(つぶらやかねこ)さんも言ってましたよね。
「ガッポリ儲けた人からは、ガッポリ税金いただきます」って。
個人ごとの事情を汲んで負担を調整してくれるシステム
しかし、実際に納税する金額はと言うと、「ガッポリ収入が○○円の人は、ガッポリ税金一律○○円」というような単純なものではなく、配偶者に収入があるか? 扶養家族が多いか? 住宅ローンの負担があるか? 医療費負担が多いか?・・・などといった個人ごとの事情を汲んで負担を調整してくれるシステムになっています。
所得税額との違い
一方、毎月のお給料から天引きされる所得税額はというと、給与支給額がいくらで扶養家族が何人かという基準だけで決まっています。
ですから、給与天引き時点での所得税額はあくまで仮払金であり、年間を通じた精算作業を行う必要がある訳です。
だんだん分かってきましたね。
そう、その精算作業が、読んで字の如く『年末(に納税額を)調整(する)』なんです。
な~んだ、別に儲かってたわけじゃないんだ。
これにより、仮払金として多く払いすぎていた人には税金が戻り、天引きされた額だけでは納税額が足りなかった人からは、不足分が追徴されます。
次回は、年末調整が具体的にどのように行われるのかについてお話します。
監修者:吉田 一仁
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