【2005年 2回】[年末調整]年末調整の事例~年末調整の秘密 エピソード2 ?
佐藤 名ゝ美(サトウ ナナミ)⇒ プロフィール
今回は、実際にどのような手順で年末調整が行われるかというお話です。
前回のおさらいですが、所得税法では、「収入の多い人がより多く税を負担して下さいね」という『超過累進課税制』を採っています。
非常に大雑把にいうならば、「所得税額=課税所得×税率」という一言で説明できなくもないということを前提にしていただくと分かり易いかもしれません。
そこで、まずは前半の課税所得を求める作業から。
作業1
所得額を算出する ・・・ 「所得額=総収入額-必要経費」
サラリーマンの必要経費は『給与所得控除』です。
この金額は、給与の総額によって、決められた式により機械的に計算されています。
作業2
課税所得を算出する ・・・ 「課税所得=所得額-所得控除」
所得控除というのは、実際にはある所得を、「税金の計算上なかったことにしてあげる」というものです。
配偶者の所得が少ない・扶養家族が多い・障害がある・生命保険料を多く支払っている…など、様々な個人的事情を勘案して税金を軽くしてくれる措置です。
ここまでの作業で、実際に支給された給与の総額をいかに計算上小さくしていくかというのが、実際の納税額を抑えることにつながります。
ちなみに国は、今後この『給与所得控除』を縮小していきたい考えのようです。最近、メディアなどでよく聞く“サラリーマン増税”の話題は、主にこの辺のことが語られていることを知っておくと、話が理解しやすいですね。
ここからは後半の、実際の納税額と精算額の計算です。
作業3
税額を計算する ・・・ 所得税額=課税所得×税率
(-速算控除額-税額控除-定率減税額)
まず、作業2で求めた課税所得の金額に、それに応じた税率をかけて税額を求めます。
『住宅ローン控除』などの税額控除がある人は、ここでその額を差し引き、さらに20%(上限25万円)の定率減税額を差し引きます。
ちなみに、定率減税は平成18年度には10%(上限12.5万円)に半減されることが決まっています。
作業4
仮払額と実際の税額の差額を計算する
1月から12月にかけて、毎月お給料から天引きされた所得税が、実は仮払金だったことは前回
お話した通りです。
ですからここで、既に差し引かれた所得税額から、作業3で求めた実際の税額を引きます。こ
の数字がプラスになれば、その金額が戻ってきますし、マイナスになってしまった場合は、その額を追って納めなければなりません。
いかがですか?ご理解いただけましたか?
サラリーマンの方は、納税額を計算するという作業を会社が代行してくれているために、自分がいくらの所得税を納めているのか知らないという人も多いかと思います。
実は私は、年末調整という制度が廃止になって、サラリーマンも確定申告をするような制度になればいいという意見を持っています。
そうなることで、納税者意識も向上し、税金の使われ方にもみんながもっと関心を寄せるのではないかと思うからです。
監修者:吉田 一仁
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