[新社会人]冷徹な「市場経済」の原理に従うと・・・【2006年 第3回】

【2006年 第3回】[新社会人]冷徹な「市場経済」の原理に従うと・・・

西谷 由美子(ニシタニ ユミコ)⇒ プロフィール

前回一人暮らしのキビしさについて少しふれましたが、皆さんは今、どこでどなたとお暮らしですか?憧れの一人暮らしをはじめるときは、やっぱり色々情報収集しますよね。

インターネットに情報誌、地元密着の不動産屋さんを回る・・・etc.今、私の手元に“タダでもらった”情報誌が3冊あります。
パラパラめくると、天神に近い六本松、薬院周辺で20m2の1Kが3万円/月位から。

そしてTVCMでもおなじみ、「敷金・礼金ゼロ!」。

入居時に必要な費用

今では敷金・礼金ゼロが普通かもしれませんが、以前の福岡では「6か月分の家賃を準備する」のが独立して部屋を構えるための必須条件でした。
その内訳は敷金3ヶ月、礼金1ヶ月、不動産屋さん手数料1ヶ月、前払い家賃1ヶ月分。
安いところでも20万円近く。けっこうな金額です。

敷金は万一の保証金的な意味合いで、家賃の支払が遅れたときに充当する、あるいは退去時に、借りた側の原因で部屋を修理する代金に充当されます。
あ、最近これを返す返さないのトラブルが多発しているとか。

入居時にしっかり契約書を確認したり、すでにあった床の傷などは写真で記録しておく等の対処は必要ですよ、というのはトリビア的知識。
しかし、礼金とは・・・地域の風習でない所もあるんだそうですが、礼金は大家さんへのお礼。
「大切なお部屋を貸していただき、誠にありがとう存じます、つきましてはこれをお納めください・・・」チョット待てよ。
コンビニやスーパーでも売る側が言います、「ありがとーございましたぁー!」と。
言い方・態度が悪いと評判が落ち、客足が遠のきますから、従業員教育の必須事項。

不況、地価下落、競争激化の中で、この礼金の風習がすたれていったのはある意味、需要と供給の力関係、まさに市場経済の仕組みの賜物だったのかも。

自宅から通うか、会社の寮に入って通うか

さて、少し前の流行語に「パラサイト・シングル」というのがありましたよね。
識者の方々も「日本の若者は自立しとらん。」、「欧米では高校卒業と同時に経済的に独立するのが常識。」

でも、ここで日本の若者が皆心を入れ替えて一人暮らしを始めたらどうなる?
賃貸に出ている部屋の数は変わらずに、借り手がわんさか。
あっというまに家賃はズンズン上昇?いくらなんでも、それはちょっと。

日本の建築基準法

ところがです。
聞くところによると、日本の建築基準法は非常に規制が厳しいとか。
これが諸外国並みに緩和され、工法にも自由化が進むと、家屋の建築費は2/3~1/2で済むとも。
地震の多いわが国で、今以上に基準を緩和していいかは疑問ですが、自由競争の市場経済のもとでは、いい加減な工法で長持ちしない建築物を製造・販売する業者は自然に淘汰されていくとも考えられます。
一体どっちがいいんだろう?なんだか解らなくなってしまいました。

思わず手に取った住宅情報誌から、私の思考は意外なところまで進んでしまいました。
世の中に「ローリスク・ハイリターンなんて虫のいいことは絶対ない。」といいますが、お家賃が安くて、その割に豪華でオシャレなお部屋で一人暮らしをしてみたいとは誰もが思うこと。

少子化が進んだ将来は一体どうなっているんでしょう。

【2006年03月22日】
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