【2011年 第11回】 同棲という選択 ~フランス気分~
横川 由理(ヨコカワユリ)⇒ プロフィール
フランスといえば、愛の国。老いも若きも愛を求めて、町中ラブラブカップルでいっぱいです。
とはいえ、結婚願望は低いフランス人。
実は結婚という選択よりも同棲、いわゆる「事実婚」を選ぶ人が多いのです。
事実婚
日本では、ひところより事実婚という選択をしても、世間からとやかくいわれない世の中になったとはいえ、まだまだ、婚姻届を出さないということに風当たりが強いものです。
社会的にも法律的にも、正式の妻でないと守ってくれないことがたくさんあるからでしょう。
フランスではどうでしょうか。
結婚と事実婚との間に、そう違いはありません。
結婚しているか否かは、社会的に全く問題にはならないのです。
数年前にフランス大統領に立候補したセゴレーヌ・ロワイヤルさんは、事実婚をして4人の子どもがいたことを覚えている方もいるかもしれません。
また、結婚や離婚をするという手続きがとても面倒だし、
離婚にいたっては必ず裁判が必要となるため、お金も時間もかかってしまいます。
日本のように協議離婚をおこない、離婚届だけ役所に提出するということはあり得ないのです。
そうなると、「じゃあ、事実婚で」とお気軽になってしまうのでしょう。
とはいえ、ただの“お気楽な”事実婚ではありません。
連帯市民協約(PACS)を結ぶ
フランスでは結婚届を出すという方法と同じように、連帯市民協約(PACS)を結ぶという方法があるのです。
協約を結ぶことによって、税制、社会保障面などで入籍した夫婦と同様の優遇を受けることができます。
このように、ふたりで協約を結ぶことで、簡単に夫婦のようになれるわけです。
では、結婚のハードルが高いということを説明しましょう。
①正式な結婚をするためには、まず市役所に行って様々な書類を書きます。
②お互いに健康診断をします。
③さらに、2週間は市役所に、結婚することが公示されます。
「○○と××が結婚をしたいといっているが、意義のある者は申し出よ」
「いつの間にか私の恋人が、ほかの人と結婚をしている」ということにならないようにしているのでしょう。
無事に公示期間が終わり、やっと結婚ができるわけですが、もう一つ面倒なことがあります。
結婚をするときは、届け出だけではダメなのです。
④男女2人の証人とともに、市長の立会いの下で最終的な意思の確認をいたします。
みんなの日程調節がたいへんですね。
⑤カトリックの多いフランス人は、この後教会へいき神の前で誓いを立て、そしてパーティーへという流れを踏むわけです。
フランスの離婚はたいへん
結婚は楽しいからよいものの、離婚はもっとたいへん。
離婚をするときには、裁判をとおしてすべての権利関係を明確にすることが必要となります。
なにもトラブルがなくても、弁護士費用が10万円から20万円ほどかかってしまうのです。
親権などでもめていると、さらにお金もかかり何年もかかるケースも。
「じゃあ、協約でも結婚でも同じ立場なら、協約を結んで“事実婚”にしようか」となるわけです。
愛の国ですから、また次の愛へと向かって突き進んでいくのでしょう!
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