【2011年 第1回】 高額療養費のからくり ~社会保険(健康保険)~
マイアドバイザー®事務局 優益FPオフィス
「払いすぎた医療費は返ってきますよ。」
こう説明した場合、よく返ってくるのは、「税務署に申告しなきゃいけないのよね」という言葉です。
税務署に申告するのでなく、協会けんぽや健康保険組合など加入している健康保険制度に申請する「高額療養費」。
要件を整理しておきましょう。
覚えておきたい事前申請
「高額療養費」とは、所得に応じて一定の医療費を負担すれば、もし、それ以上医療費がかかったとしても加入している健康保険から還付されるという制度です。
ほとんどの方は、約8万円ほどの自己負担で済むはずが、意外と知らない人が多かったのは、あくまでも「自分で申請」が原則ですから、申請をしなければ、どこからも通知が来ないという仕組みだからでしょう。
例え、申請をしたことがあっても、合算の方法が間違っていたり、何らかの不備があって還付されなかったりと、あまり、お得な制度と感じない人が多かったこともあるでしょう。
そんな複雑な制度を利用するのに、覚えておきたいのが、「事前申請」です。入院前に、加入している健康保険に事前申請をしておくと、高額療養費を申請した のと同様の効果があります。安心して入院できるのではないでしょうか。
医療費が高額でも申請できない場合がある。手術をして入院すると、医療費も高額になりがちです。それなのに、高額療養費の申請が出来ないケースがあります。
なぜでしょうか。
高額療養費請求のルール
医療費が高くなっても、合算の仕方にはルールがあるからです。合算の対象には、「入院」「通院」「病院ごと」「科ごと」にひと月ずつまとめなければなりま せん。これでは、申告するのも面倒になりますし、請求しても入金されるのが、2.3カ月後のことです。
では、最初から高額療養費を申請するつもりではどうでしょうか。
我が家の末息子は、あざを取る手術を半年ごとに3回行いました。
この手術には、緊急性はありませんので、入院の日や手術の日を選べます。
選べる入院や手術であれば、医療費がなるべくまとめられるような方法をとりましょう。
医療費は介護費用と合算できる
医療費が高額になる場合に、申請できるのは、高額療養費ですが、同じ世帯に介護保険に基づく介護サービスを受けられる方がいる場合、高額介護合算療養費が申請できることがあります。
介護費用を支払った方は、ぜひ確認してみてください。なお、介護の場合は、計算期間が前年8月1日から7月31日までです。
医療費と介護費用は別々に支払っているので、多少、面倒かもしれませんが忘れずに申請したいものです。
申請の流れ
介護保険に申請する(介護保険者:市区町村)に申請する
↓
「介護自己負担額証明書」を申請者に交付する
↓
医療保険に申請する(介護自己負担額証明書を添付して、医療保険者に申請)
↓
支給額決定
注意:市町村が運営する国民健康保険などに加入している方についてはまとめて申請できる場合があります。
詳しくは市区町村の窓口でご確認ください。
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