【2011年 第2回】 妊娠、出産で使える制度はコレ ~社会保険(健康保険)~
マイアドバイザー®事務局 優益FPオフィス
妊娠、出産にかかる制度は、ひんぱんに改正が行われており、よく知らないままに、あわただしく育児に突入した方もいらっしゃるかもしれません。 ここ2,3年の改正を見ても、出産一時金の支給額アップに始まって、雇用保険の育児休業給付の一本化など、産む時期や育児休業を始める時期によって、金額さえ異なるものもあります。
今回は、働く人が「妊娠、出産」を理由に使える制度を整理してみます。
出産支援策続々
出産育児一時金が42万円にアップしたり、約14回分の妊婦検診が無料で受診できるなど、出産を応援する制度は、少しずつ拡充されてきました。
女性が、出産、育児を経ても退職せずに続けられるよう、労働基準法の改正に始まって、健康保険や雇用保険でもさまざまな制度で、育児休業の取得も推進されています。
今、仕事をしているのであれば、妊娠、出産しても、辞めることを考えずに、様々な制度を利用しながら働き続けることを考えたいものです。
産前産後の産休の話
妊娠しても、その時の体調はひとそれぞれです。
妊娠中、本当に元気な方もいらっしゃるのですが、晩婚化の影響もあり、高齢出産で、妊娠中、安静が必要な方も多くなっています。
ところが、法律で決められているのは、産前42日前の休業からです。
もし、それまでに「体調が悪くてしばらく安静にした方がいい」などと、ドクターストップがかかったときには、健康保険の「傷病手当金」が申請でき、お給料のおよそ3分の2が支給されます。
妊娠中に、傷病手当金が申請できないと考えている方もいらっしゃいますが、重複して受け取れないだけです。
体調が悪い状態が続くのであれば、最初は傷病手当金、予定日の42日前からは、出産手当金の申請をしましょう。
出産手当金は、産前42日、産後56日で、仕事をしていない間、給料の3分の2が支給されます。もし、出産が予定日より遅れた場合には、出産手当金は、遅れた日数分がプラスして支給されます。
この、出産手当金は、1回で請求もできますが、数回に分けて申請することも可能です。
ただ、医師の診断書が必要な手間を考えると、出産後の出産育児一時金と一緒に請求した方が、簡単かもしれません。
育児休業の話
女性の場合、育児休業は、産後57日目からですが、男性の場合、産後すぐに育児休業を取得できます。
妻が産後の休業をとっているおよそ2カ月、「育児休業」をとって、社会保険料の免除をしてもらい、2カ月後、妻が育児休業をとり、パパママが交代で合計1歳2カ月までの育児休業を取得するという「パパママ育休プラス」の制度が、2010年にはじまりました。
まだまだ、男性の育児休業の取得率は低いですが、妻が寝不足になりやすい一番大変な産後の時期に育児休業を取得すると、感謝されること間違いなし―ではないでしょうか。
育児休業中は、社会保険料の免除をしてもらいながら、雇用保険の育児給付を受け取りましょう。
給与の約半分が、子どもが1歳になるまで(一定の場合には、1歳2カ月、1歳半まで)受け取れますが、お給料と違って、毎月振り込まれるわけではなく、会社が2カ月ごとにハローワークに申請してくれます。
会社が申請をすると、通常1週間ほどで振り込まれます。
養育期間の報酬の改定
ただ、このご時世ですから、会社をゆっくりと休んでいられないと言う方もいるでしょう。
そんなときに覚えていただきたいのが、社会保険料の随時改定です。
産む前よりも、残業が出来なかったり、短時間勤務となってしまったり、給与が下がってしまうこともありえるでしょう。
そんなときに、養育期間の随時改定を申請しておけば、給与が下がっても、年金上は産前の高い給与のままで、保険料は低くなった給与に応じて、徴収されます。
これは、こどもが3歳未満の間(3歳のお誕生日の前月まで)、利用できます。
子どもが小さいうちは、病気をすることも多く、休みがちになることもあるでしょう。
すぐに得するわけではないですが、将来的な年金を増額できる制度です。
労働人口が減っていく中、女性の労働力は貴重です。
妊娠、出産を経ても働き続けることで、ライフプランがより豊かになるものと思っています。
女性の皆さん、がんばりましょう。
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