健康保険と国民健康保険はどう使い分ける?【2011年 第12回】

【2011年 第12回】 健康保険と国民健康保険はどう使い分ける? ~社会保険(健康保険)~

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会社に在籍していると「健康保険」。会社を辞めると、「国民健康保険」というのが、よく知られている健康保険の違いですが、実はそれだけではありません。
この使い分けを知っていると、転職も上手にのりきれるかもしれません。

国民健康保険のしくみ

国民健康保険に加入できるのは、社会保険に加入していない個人事業や、フリーターの方など、社会保険が適用されない全ての方です。
この保険料、個人事業の方には、高い高いと愚痴を聞かされます。

自治体によって多少違いはありますが、所得によって決定される「所得割」、固定資産税の額によって決定される「資産割」、加入者なら誰しも負担する「均等割」、最後に、世帯ごとに負担しなければならない「平等割」の4項目によって保険料は決定されます。
家族が多いほど、そして資産や所得が多いほど、国民健康保険の保険料負担が多くなることが分かります。

ただ、22年からは、解雇などの理由で失業した方に対する減免制度、東日本大震災のように災害特例による減免制度など、様々な減免があり、役所で教えてくれる場合もありますが、どういう要件であれば、保険料が安くなるのかは、ぜひ、調べておきたいところです。

健康保険のしくみ

 健康保険の保険料も給料が多いとそれだけ高くなりますが、一番のメリットは、扶養家族が何人いようが、保険料は同じという点です。
そして、給付の面でも、国民健康保険にはない「傷病手当金」「出産手当金」という制度があります。
女性が出産のために休業して働けない産前42日、産後56日の期間、一定の金額が支給されるのです。

個人事業主が、事業主夫婦が加入できないからと、会社を健康保険、厚生年金に加入させないこともありますが、
法人化することで、夫婦の年金を増やすことも可能ですし、奥さんが出産すると、働けない期間に出産手当金をもらうことも可能になります。

会社を辞めた場合には、任意継続被保険者制度があり、会社が負担してくれていた保険料を全額自分が支払うことで、2年間は、元の健康保険に加入し続けることができます。
ただし、その場合には、傷病手当金は給付がされませんので、ご注意ください。

退職後の使い分け

国民健康保険と健康保険の違いをざっと整理しましたので、今回は、会社に加入していた方が退職して、どの健康保険に加入するか迷っているケースを考えてみましょう。

健康保険の任意加入か国民健康保険に加入するか、それとも、家族の扶養家族に加入するという3択が考えられます。
保険で給付される内容と病院で負担する一部負担金については、どれに入っていても違いはありません。

では、保険料ですが、ただで済むのはもちろん扶養家族に加入することです。

ところが、雇用保険を受け取ろうとすると、それが所得として認定され、扶養家族に加入することが出来ないケースがあります。
(たとえば、受給金額4,000円であれば、4000円×360=1,440,000>1,300,000円。実際、3カ月90日間の受給であったとしても1年換算されてしまいます)

次に任意継続保険と国民健康保険の選択ですが、会社に加入していた時に、給与が高く、扶養家族が多い場合は引き続き、健康保険に任意加入した方が保険料が安くなるケースもあります。
健康保険の任意加入制度には、報酬の上限(280,000円)がありますので、28万円以上の給料をもらっていた方には、メリットがあるのでしょう。

ただ、会社側の都合で、会社を退職せざるを得なかった場合には、国民健康保険で減免の手続をとってもらった方が安くなるケースもあります。

今後予想される健康保険の改正案

2011年11月に厚生労働省の諮問機関である社会保障審議会で、国民健康保険料の保険料軽減案が示されました。
今の制度で年収223万円以下(3人世帯)から約310万円以下(3人世帯)に拡大される案です。

また、協会けんぽでは、平成24年度の保険料が10%超になる可能性があることが、発表されています。
理由としては、高齢者医療への拠出金の増加や保険給付の増加、標準報酬の低下による収入の減少などが挙げられていますが、

任意継続被保険者と国民健康保険、そして、一旦家族の扶養家族になるという選択肢。自分の状態では、どの選択肢がメリットとなるのか、必ず自分で確認することが必要です。

「男だから妻の扶養家族になるのはちょっと」という方もいらっしゃいますが、起業するなど雇用保険を受け取らない方の場合は、保険料の節約がのちのちの生活に潤いを与えることは間違いありません。
知ったつもりにならず、普段からちゃんと「知って確認すること」は自分を守るという意味があります。

ニュースなどに一喜一憂することなく、情報を取捨選択し、「人と一緒だから安心」でなく、「自分ならどうなのか」を考える癖をつけましょう。

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