外国債券のしくみ【2011年 第3回 】

【2011年 第3回 】外国債券のしくみ ~金融商品の仕組み~

鈴木 暁子(スズキアキコ)⇒ プロフィール

国内の預貯金や国債の金利の低さに慣れてしまったものの、これでは資産を増やすのは難しいと思う方に人気の外国債券。
人気のヒミツは何?それほど人気なら安心なの?しくみをしっかり理解していきましょう。

 

 

 

 

外国債券

直近となる2月発行の個人向け国債固定3年の金利は税引き前で0.22%。大手銀行の定期預金にいたっては10年預けても0.2%という国内の低金利ぶり。確かにこれらの商品は、安全性は極めて高いものの、資産を増やすということは望めません。

そこで「預貯金や国債の金利では不満」とはいうものの、「株式投資や投資信託は怖そう」と思う方たちに人気なのが外国債券。外貨建ての債券です。
(一部円建ての外国債券もありますが、今回は一般的なケースをご紹介します)

外貨建てといっても、

①金利が約束されている。
②満期まで保有していれば、原則元本保証。
③途中換金の場合は元本保証なし。

という点においては、前回ご紹介した国内債券としくみは同じです。

外国債券はなぜ人気?

では人気の秘密はどこにあるのでしょう。

それは「高金利」であるということ。発行される数も多く、外国債券の中でも人気の高い豪ドル建ての債券は、5%前後。国内の預貯金や国債の25倍の金利水 準です。また、高金利といえば新興国債券も同様で、ブラジルレアル建ての7%前後やトルコリラ建ては何と10%近い金利のものも!

債券の価格は株式ほど激しい値動きをするわけではなく、満期まで保有していれば原則元本保証ということを思えば、飛びつきたくなるのも無理はありません。
このようにオイシイ雰囲気がただよう外国債券。これほど人気の商品ならば安心と言えるでしょうか?

外国債券のリスク

賢明なアナタはお気づきですよね。そうです。やはりリスクが付いてまわります。ではどのようなリスクか見ていきましょう。

なんといっても最大のリスクは「為替変動リスク」。私たちが外国債券を購入する際は、円で支払いますが、それを外貨に交換しています(それが外貨建てとい うことです)。つまり外国債券の場合“元本”というのは外貨建ての元本のことを指すので、満期まで保有していれば保証される“元本”というのも外貨での元 本です。

満期償還された外貨を私たちが円転換しようとすると、円転換する時の為替レートによっていくらになるかが決まります。この時、債券を購入する際のレートよりも円高なのか円安なのかで為替差損益が生じますが、これが為替変動リスクです。

もう少し細かくいうと、購入時の元本に保有期間中の利息分を加算しますから、購入時よりも償還時のほうが当然外貨ベースでは増えています。ただしその分を考慮してもそれ以上の為替差損が出てしまったら結局は元本割れということに…。

実は高金利で人気の債券(通貨)は値動きの大きいものが多いのです。ですから金利で増えた以上に為替差損を被ることも少なくありません。外国債券を購入する場合は金利の高さだけに目を奪われないことがポイント。

具体的には、最終的に元本割れしないための為替レート(損益分岐点)がいくらなのかを知った上で、そのレートよりも円高になることはないだろうと判断した 場合に購入を検討し、円高になってしまうかもと思えば購入は見合わせましょう。ちなみに損益分岐点となるレートは、自分で計算しなくても証券会社に聞けば すぐに計算してくれますよ。

また新興国の場合、「信用リスク」も十分注意しましょう。国政や財政の安定度が先進国より低い分、政変や財政破綻が無いわけではありません。そうなってしまえば債券はただの紙切れ同然。金利の高さはリスクの高さと思ってください。

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