【2011年 第10回】 REITのしくみ ~金融商品の仕組み~
鈴木 暁子(スズキアキコ)⇒ プロフィール
投資信託には、株式や債券だけなく不動産を投資対象とするものもあります。
それがREIT。投資の幅を広げてくれるREITのしくみをひもといていきましょう。
REITとは
REITは、Real Estate(不動産)Investment trust(投資信託)と訳され、その名のとおり投資対象を不動産に特化した投資信託です。
国内のREITはJ-REITといいます。
これまでは不動産に投資するというと、現物(投資用不動産)を購入するのが一般的でした。したがって資金力が必要、かつ選択眼も必要であり、ハードルの高いものでした。
これが、投資家から資金を集め、オフィスビル、商業施設、ホテル、マンションなどの不動産で運用し、賃貸収益や売却益などを配当金として投資家に分配するという投資信託の形で投資できるようになり、少額からの投資が可能となったことは資産のポートフォリオを形成する上で大きな変化をもたらしてくれたわけです。
ではそれ以外のREITの特徴を見ていきましょう。
①いつでも売買可能
実物の不動産の場合、多額の資金が必要なだけでなく、売りたくても売れないなど換金性に欠けることが少なくありません。しかしREITはETF同様、上場投資信託ですので、いつでも売買可能です。また取引上のルールとして情報開示なども義務付けられているので、透明性が高いといえます。
②安定した分配と、高めの利回り
RETIの人気の理由として利回りが高いことがあげられます。実は税法の規定上、不動産投資法人は収益の90%以上を分配すると、分配金に対する法人税が実質非課税扱いされることになっています。
そこで各REITはそれだけの高い分配を行い、投資家は高利回りを期待できるというわけです。
特に昨今の地下下落のあおりで、REITの基準価額が安値を更新。そのため通常でも5%程度の利回りは期待できるところ、逆に配当利回りが大幅に上昇し10%を超えるものまで出てきています。
③リスク分散効果
プロが複数の不動産に投資しているので、リスク分散効果があります。
④インフレへのヘッジ
預貯金ではインフレに対抗できませんが、不動産はインフレ時に強い資産です。REITの収益は不動産を裏付けとしていますので、インフレへのヘッジとして有効な商品といえます。
このように預貯金、株式、債券などとは違ったメリットを享受できる商品ではありますが、当然リスクも意識しないといけません。
①価格変動リスク
投資対象である不動産は、市場の需給で価格が変動します。したがって不動産の購入価格より売却価格のほうが小さい場合、元本割れの恐れもあります。
②分配金変動リスク
収益は、不動産価格の変動だけでなく賃貸収益の変動、また金利動向により借入金利の増減など、さまざまな理由で変わります。したがって現状の分配金が未来永劫保証されるわけではありません。
③災害リスク
地震や火事などで価格や分配金の低下を招くこともあります。
④信用リスク
不動産投資法人の財務状況悪化などにより倒産するリスクもあります。
⑤上場廃止リスク
株式同様、取引所が定める上場廃止基準に該当した場合は、上場廃止となることもあります。
なお、手数料や税の扱いは上場株式に準じます。
投資の幅を広げたい人は、このようにメリットやリスクを理解した上で、ポートフォリオの一部にREITを組み込むことを検討してみてはいかがでしょう
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