外貨投資いろいろ【2011年 第11回 】

【2011年 第11回 】外貨投資いろいろ ~金融商品の仕組み~

鈴木 暁子(スズキアキコ)⇒ プロフィール

外貨投資といってもさまざまな商品があります。
それぞれの特徴を理解し、上手に活用していくことが大切。
主な外貨投資の特徴をみていきましょう。

 

外国債券については3月号でご紹介しているので、今回は外貨投資のベースである「外貨預金」、メリットが多く幅広い層に人気の「外貨MMF」、上級者向けではありますが、興味を持っている人が多い「FX」をご紹介します。

外貨預金と外貨MMF

外貨預金と外貨MMFは、比較してみていくとそれぞれの位置づけが理解しやすいでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外貨MMFですが、元本保証はないといっても、短期国債や短期金融商品などを中心にきわめて安全性の高い運用がなされています。また、

①少額(1,000円程度)から始められる
②外貨預金よりも利回りは良い
③いつでも換金できる
④為替手数料は外貨預金の半分~3分の1程度
⑤為替差益は非課税

 など、運用を目的とするならば外貨預金よりもメリットが多いといえます。

ただし外貨MMFの難点は外貨での引き出しはできないこと。したがって外貨で使いたい人には向きません。双方のメリット・デメリットを伝え、使い分けると良いでしょう。

ただし外貨ベースでは元本割れのおそれは極めて低いですが、為替の動向次第で、円ベースでは元本割れするおそれのあることは忘れてはいけません。

また、外国債券は最低購入単位が大きい(数十万から百万円)ことや、原則満期まで保有することを考えると資金の拘束期間が長いため、「初めての外貨投資」には外貨MMFは適した商品です。
なお、外国債券など外貨建て商品の取引をする場合、証券総合口座のほかに外国証券取引口座の開設が必要なため口座管理料がかかりますが、外貨MMFのみの取引であれば開設不要というのもスタートしやすい要因です。

ハイリスクハイリターンなFX

外貨預金や外貨MMFと比べ、極めてハイリスクハイリターンなのがFX(外国為替証拠金取引)。
これまで外貨投資を経験した方は、投資額と同等の対価(例:1ドル=100円の時、10万円で1000ドルを購入)で取引してきたと思いますが、証拠金取引はそもそもそこから違います。

証拠金の何倍(「レバレッジをかける」といいます)もの取引ができるのが証拠金取引。

 

 

 

つまり1ドル100円の時、10万円の証拠金で1万ドルの取引をすることも可能となります。これにより、投資額は同じでも取引額は10倍。したがって為替差益も10倍。この「少ない資金で大きな取引ができる」ことが、FX取引が人気の最大の理由なのです。
ただし為替相場が予想と逆に動けばそれは為替差損となって跳ね返ってきます。その場合もちろん損も10倍。つまりこのようなリスクを背負える人でなければ、本来レバッレッジをかけたFX取引には参入すべきではありません。

ただし、FXには為替差益以外にも、スワップ金利という2通貨間の金利差が収益源として挙げられます。円よりも高金利の通貨を買えば金利差分を得ることができますが、逆に円よりも低い金利の通貨と交換すると金利差分を支払うことになります。

とはいうものの、現在FXで扱っている主要国通貨で円より低い金利はありませんので、外貨を買えばスワップ金利は収入源となるわけです。これは保有しているだけで日々付与されるので、売買を繰り返さなくてもよく、むしろじっくり保有しスワップ金利をコツコツ貯めていくというスタイルもあります。

 

 

 

 

ただし外貨というのは、保有している間中為替リスクにさらされています。つまりスワップ金利のためにじっくり保有するというのであれば、為替相場が変動しても耐えうるため、レバレッジをかけた取引は避けなければなりません。
それは言い換えれば外貨預金や外貨MMF同様、10万円の証拠金で1000ドルの取引しかできなくなるということ。

レバレッジをかけた取引より安全性は高まりますが、大きな収益を上げたければまとまった資金も必要になり、資金面でのハードルは高くなります。通常1万通貨単位というように、外貨預金や外貨MMFよりは取引単位が大きい分、簡単に参入できるわけではありません。

 しかし最近では、1000通貨単位から取引できるFX会社もありますので、まずは1000通貨単位で勉強していくことから始めてみるのも手です。

現在は為替介入が入るような歴史的な円高。外貨預金、外貨MMF、FXにかかわらず外貨を買うには適しているといえます。
ただし為替相場の行方は誰にもわかりません。為替介入が入るということはそれだけ市場が落ち着いていない証拠。為替変動も激しく一度に資金をつぎこむのではなく、定期定額で買い付けるドルコスト平均法などで、購入単価を平準化することがポイントです。

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