【2011年 第5回】 時価総額で見た大企業の株価 ~資産運用に必要な今どきの経済知識~
有田 宏 (アリタ ヒロシ)⇒ プロフィール
皆様おなじみの大企業。僅か半年に満たない間にも株価の動きは大きく違う。その違いを考えてみる事こそ投資への第一歩。
TOPIX core30
「TOPIXの構成銘柄を一定の基準で規模ごとに7つに細分化した時価総額加重型株価指数の一つです。東証市場第一部銘柄(内国普通株式)の中から、時価総 額及び流動性の高い30銘柄で構成される超大型指数のことをいい、平成10年4月1日を1000ポイントとして算出し、東証市場第一部時価総額の約35 パーセントをカバーしています。」(東京証券取引所)
時価総額の大きさが銘柄採用の大きな要素です。TOPIX core30に採用されている銘柄は日本の大企業のトップ30、いうなればリーディング・カンパニーに相当するものです。現在の構成銘柄は2010年10 月7日を基準として選定されています。現在の個別銘柄は次の表1をご覧ください。順は証券コード順です。
昨年の銘柄入れ替えでは、JFEが抜けて新たにソフトバンクが入っています。
最新の時価総額ベスト30
それでは、最新の時価総額ベスト30はどこでしょうか。2011年4月25日の終値で計算しています表2をご覧ください。なおこちらは時価総額の大きい順になっています。
本年(2011年)の10月にcore30銘柄の入れ替えが予定されています。基準は時価総額と共に流動性も加味されますので一概には言えませんが、表1からどの銘柄が脱落しそうか想像がつくかと思います。
core30銘柄の過去の株価の変動
次にcore30銘柄の過去の株価の変動を見ていきましょう。次のグラフは2010年10月25日の始値から2011年4月25日の終値までの変動率をグラフで表したものです。
ファナックより右側の4銘柄は現状でcore30には採用されていませんが、表2の時価総額のTOP30に入っている、いわゆるcore30候補銘柄です。
この間の日経平均は2.7%の上昇。個別銘柄で見ると大型株とはいってもずいぶんと開きがあることが解るでしょう。なおこの間の為替は1ドル81円から 82円、1ユーロ113円から119円に。ドル円では殆ど変化はありませんが、ユーロが高くなっています。そして2010年の10月25日とは円高が進行し、株価も低迷を続けていた時期に該当します。
現状のcore30(グラフのソフトバンクより左側)での上昇率のTOP3は、コマツ、ソフトバンク、KDDI。下落率のTOP3は東京電力、パナソニック、関西電力。
3月11日の東日本大震災とそれによる東京電力の原発事故という未曽有の災害が起きていますが、コマツなどの復興関連銘柄が堅調であることは、株式市場が今後の復興への金融面からのバックアップという形で一役買うことになるでしょう。
上がった銘柄、下がった銘柄、それぞれ理由があります。とりたてて業績が上回らなくとも、それまで低迷を続けており株価が実力以上に低かったと思われる銘柄も有ります。
世界経済動向、為替などのマクロ要因は業種全体の動きで見ることができます。
一方、事業再編、不祥事などのその企業特有のミクロの要因は同業他所との比較で見ることができます。
単に株価が上がった、下がっただけではなく、何故そうなったのか。当たっているかどうかは別として、その“何故”を考えることが経済の良い学習になると思います。
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