【2011年 第38回】 不安を抱える老後? ~相談コラム~
佐藤 名ゝ美(サトウ ナナミ)⇒ プロフィール
相談者・家族構成
- 相談者 Tさん
- 家族構成 Tさん(57) パート・夫(58) 契約社員
相談内容
4年前、夫が公務員を退職。住宅ローンの支払いが心配ですが、このままの状態で良いのでしょうか。 また、別居中の息子の国民年金などを立て替えていますが、返済のめどは立っておらず、老後に不安を抱えています。 あと30年生きたとして、どれくらいの資産が必要でしょうか。アドバイスをお願いします。
回答
住宅ローンについて、夫が定年退職を迎えているにもかかわらず、返済があと21年間も残っていること、また、ボーナスがほとんど出ないにもかかわらず、ボーナス返済があることが非常に気になります。
ボーナス返済部分を全額繰り上げ返済すると、将来の利息が約300万円減額できますが、そのためには 約500万円の一時金が必要です。しかしながら、これを返済してしまうと預貯金残高が現在の半分以下になってしまいます。今後のライフプランに照らしながら、慎重に検討する必要がありそうですね。
「どれくらいの資金が必要か」ということも、他の要素次第で大幅に変動しますので、一概には言えません。それよりも、今後の収支を“流れ”としてとらえてみる方が、よりわかりやすく安心なのではないでしょうか。
将来の年金受給額の見積もりはお済みですか。まだでしたら、お近くの年金事務所で概算を出してもらいましょう。50歳以上の方については、ご本人の年金加入記録に照らして、受給できる年金の見込み額 「入ってくる金額」のおおよそがわかったら、「出ていく金額」のコントロールを。
ファイナンシャル プランナーに依頼して、『キャッシュフロー表』を作成してみられると、より具体的なイメージが見えてくるでしょう。
「出ていく金額」のうち、息子さんの国民年金と生命保険の立替払には賛成しかねます。息子さんが低所得のため国民年金保険料を払えない状況にあるのならば、『保険料の払込免除』を申請しましょう。
生命保険についても、そこまでして加入しておかなければならないのかどうか、何が何でも必要な保障なのかどうか真剣に考えてみてください。
「やめるのはもったいない」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、私は、「これから払う保険料の方がもったいない」というケースの方が圧倒的に多いように 感じます。
このコラムは、熊本日日新聞(2004年4月~2005年3月)に掲載された「家計CHECK」を加筆修正したモノです。
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