頭金を貯めるのと、貯める前にローンを借りるのではどちらがオトク?【2011年 第5回】

【2011年 第5回 】頭金を貯めるのと、貯める前にローンを借りるのではどちらがオトク? ~住宅ローン~

奥田 智典(オクダ トモノリ) ⇒プロフィール

だれもが悩むこの質問。多くのご家庭では、頭金の少なさに不安を抱えつつマイホーム計画を考えているのではないでしょうか。今回は、今の時代にあった頭金の考え方を述べたいと思います。

 

 

 

こんにちは。ゴールデンウィークもあっという間に終わり、すっかり暑くなりましたね。今年は日本中で節電への取り組みが進んでおり、例年以上に健康管理の大切さが問われます。体調を万全に、元気にのりきってまいりましょう。

さて、今回は『頭金を貯めるのと、貯める前にローンを借りるのとではどちらがおトク?』がテーマ。住宅資金相談では必ずといてよいほど話題になるテーマです。少しでも住宅ローンの負担を減らしたいので、頭金を十分準備する。その考えは住宅資金計画においては基本ですが、必ずしもそれが100%正しいとは限 りません。

□時代によって変わる頭金の考え方

そもそも頭金とは一般的に、住宅購入をおこなうさいに準備する自己資金のことをいいます。例えば総額3,000万円の住宅取得をしようとして、自己資金を300万円準備したならば頭金は300万円ということになります。

ほんの10年ほど前まで、頭金は購入資金の2割というのがアタリマエでした。というのも住宅ローンが購入資金の8割までしか借入できなかったからです。その頃は、頭金が準備出来るまでは家を買わないのが正しいとされていました。

しかしデフレの15年を経て、環境は大きく変わりました。最近は多くの銀行が諸費用部分もあわせて100%融資を可能としています。したがって頭金が全く ない場合でも、諸費用分を払える程度の自己資金があれば住宅ローンは組めます。頭金の多少は確かに問題ですが、それだけでマイホーム取得のタイミングは図れなくなってきています。

□頭金を貯めるのは至難のワザ?

頭金が2割必要だった時代、預金金利は3%を超える水準でした。資産運用という言葉を考えずとも、銀行に預ければお金を増やせる時代でした。しかし今は違います。低金利時代が10年以上続き、銀行にお金を預けても殆ど増えません。

その一方で住宅ローン金利は過去最低の水準を維持しています。従来は『頭金を貯めてから家を買う』のが望ましいとされていましたが、よほど計画的に資産運用しない限り潤沢な頭金を準備するのは至難の業。年々増え続ける税金や社会保険の負担を鑑みると、頭金が準備出きるまで動かない(家を建てない)というの は、むしろ将来のリスク負担を大きくすることにもなりかねません。

□時代にあったマイホーム資金計画とは

だからこそ、マイホームを考えるさいにはライフプランニングが大切になります。家族構成、年齢差、お子様の人数や今後の収支バランスなどをふまえたうえで、マイホームの取得時期や予算を考えることが大切です。

実際にライフプランニングをおこなった結果、手持ち資金は準備出来ているものの、敢えて借入を興し、手持ち資金を減らさないようにするケースもありまし た。頭金がなくても、年齢が若く時間を活用できるためフルローンで計画を進めた事例もあります。頭金を貯めてから、それとも貯める前に借入?という判断 は、ライフプランの結果にゆだねられることをぜひ押さえておきましょう。

なお、ここで注意が必要なのは、住宅購入をするには土地+建物代金だけでは足りないということ。土地代金、建物代金以外にも、融資手数料やローン保証料、火災保険料、登記費用、仲介手数料等の諸費用がかかります。目安としては取得総額の10%程度は見た方がよいでしょう。

マイホームは人生最大の買い物。だからこそ大切なのは、決めること。

家を建てるのか、それとも賃貸暮らしや実家を活用するのか。中古なのかマンションなのか。正解は1つではありません。しかし確実なのは、いずれマイホーム を取得すると決めたのなら、現在の状況はまたとないチャンス。よく考えて、そして決めたのならば恐れることなくマイホーム計画をはじめてみましょう。くれぐれもライフプランニングをお忘れなく。気になった方は、身近なFPにぜひ相談を。

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