【2011年 第9回】 借入申込前にやっておくこと ~住宅ローン~
奥田智典(オクダ トモノリ)⇒プロフィール
どんなに素晴らしいマイホーム計画も、肝心の住宅ローンが借りられなければ水の泡。
だからこそ、住宅ローン審査の傾向を知り、事前準備を整えておくことが重要です。今回は借入申込前のポイントをお話します。
住宅の秋
いよいよ秋らしくなってきました。例年、○○の秋ということで、今年は何の秋にしようかとあれこれ考えるのですが、今年は文句なしに『住宅の秋』で決まりですね。というのも2009年より導入された住宅金融支援機構「フラット35S」の受付が9月30日申込分までということで、大変な駆け込み需要となっているのです。
そんな中、今回のテーマは『借入申込前にやっておくこと』。資金計画づくりが大切なのは言うまでもありませんが、住宅ローンが借りられなければ計画は実現できません。
確実に住宅ローンの審査をパスするためには、事前の準備が大切です。
住宅ローン商品は星の数ほどありますが、どの商品を選ぶにせよ必ずチェックされる事項があります。
それは、個人信用情報照会と、返済負担率の2点。共に重要なチェックポイントですので、それぞれみていきましょう。
■意外なデータまで対象となる個人信用情報照会
まず個人信用情報とは申込人がこれまでにお金を借り、返済した履歴の情報のこと。
掲載される情報は、銀行からの借入はもちろん、自動車ローンやカードローン、クレジット、割賦販売のデータ等多岐にわたります。もし返済が遅れていたり、過去に返せなかった履歴があったりすると、その時点で住宅ローンの借入は難しくなります。
特に注意したいのが、携帯電話の支払い。実際にあった例として、携帯電話の料金をコンビニ支払いにしており、何かのはずみでひと月分ずつ支払いがずれてしまい、その遅延情報が信用情報機関に登録されてしまったために住宅ローン審査が通らなかったことがあります。
携帯電話の請求書には、ご丁寧に割賦販売のデータは個人信用情報に登録しますと書いてありますが、そんなの誰もチェックしませんよね。でも、ちゃんとデータは拾われ、それも考慮されてしまうので注意が必要です。
■住宅ローンの最重要ポイント「返済負担率」
そしてもうひとつが返済負担率の確認。返済負担率とは、ローン年間返済額を年収で割ったものですが、この返済負担率が一定以下であることが必要です。この年間返済額には住宅ローン以外のローンも含まれますので、申込時点で自動車ローンやカードローンが残っていると、そのぶん住宅ローンの金額が減額されてしまいます。
返済負担率の目安は、一般的には、年収400万円以上の場合が年収の35%以内。400万円以下の場合が30%以内といわれますが、その割合に自動車ローンやカードローンが含まれてしまうのです。携帯の割賦支払いも含まれるので注意が必要です。
自動車ローンは一般的に月3万円、年間36万円前後の支払いとなることが多いのですが、それがまるごと年間返済額に含まれるため、そのぶん住宅ローンが減額される。住宅ローンなら月3万円から逆算すれば、1000万円近い借入額になりますから、その影響は測り知れません。
さらに無担保カードローンの場合、たとえ実際には借入していなくとも、審査上は「いつでも借りられるので、借りているものとして」判断されてしまいます。30万円のカードローンであれば月1万円、のような計算方法でカウントされるので、こちらも注意が必要。特におつきあいでカードをたくさん作っている人は要注意です。可能な限り、借入前に解約して、綺麗にしてしまいましょう。
銀行の中には、「審査通過のあかつきには、申告しているカードローン、自動車ローンは全額完済します」という条件で、年間返済額に含めないで審査してくれるところもあります。どうしてもそうせざるを得ない場合は、それを認めてくれる銀行を選びましょう。
その他にも、会社員の年収は額面だが、自営業の場合は年収の判断が課税所得ベースになる。そのため住宅ローン申込時にはそれをふまえた上での借入額にする必要があるということも、重要なポイントとしてあげられます。
いずれにせよ、確実に住宅ローン審査をパスするためにも、申込前に出来ることは取り組んでいた方がよいと思います。心当たりがある方は、実務経験のある、信頼できる営業担当者あるいは身近なFPに相談し、不安の芽を事前に消しておきましょう。えいや~で申請して、後で泣くことのないように…。
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