介護は突然やってきた!【2011年 第1回 】

【2011年 第1回】 介護は突然やってきた!  ~実録介護保険~

浅川 陽子(アサカワ ヨウコ)⇒ プロフィール

家族に介護の必要が出てきた時の相談窓口は最寄りの「地域包括支援センター」

 

 

 

 

介護保険制度導入から10年

少子高齢化が進展する中、2000年に「介護保険制度」が導入されて10年が経過しました。それまでの日本では、高齢者の介護は家族がするものという考え方が中心でしたが、核家族化が進み、高齢者だけの世帯が増加、家族が介護を担いきれない現状から、高齢者の介護を社会全体で支えていこうという趣旨で、 「介護保険制度」が導入されました。
私自身、一人娘で、将来親の介護をしなければならないという気持ちがありましたので、この「介護保険制度」の導入は大変ありがたく、近い将来お世話になるものと思っていましたが、実際、3年半程前から、この「介護保険制度」のお世話になっています。

自分の親の場合

40代~60代の方の場合、自分自身がこの制度を使うというよりは、その前に親の介護でこの制度を使うケースが増えていくものと思われます。親の介護で実際にこの制度を利用している経験を、FPの立場から1年間にわたってご紹介していきたいと思っています。

今から3年半程前のとある日の夕方のことでした。実家の父から、母が自宅近くの坂で転倒し歩けなくなり、救急車で運ばれたという連絡を電話で受け、すぐに実家に駆けつけました。幸い、怪我は、両膝を痛めただけで、骨折もなく家に帰ってきましたが、とにかく全く歩くことができず、ご近所の男性の方にも手伝っていただき3人がかりで母親をかついで家の中に運びこむという状態でした。
歩けない状態で困ることといったらやはりトイレです。その時はオムツを使うなんて発想もなく、ソファになんとか座らせて、ポータブルトイレがわりにバケツをもってきたりしましたが、うまくいくはずがありません。翌日になって、これからどうすればよいのか困り果て、とりあえず、家政婦さんを頼むことも考えた時、父が知り合いの市会議員の方に電話をして相談したのです。その市会議員の方は、自宅に近い「地域包括支援センター」に連絡をいれてくれて、そこの社会福祉士さんがすぐに自宅に飛んできてくれました。

両親の要介護(要支援)認定申請

母がインシュリン注射を打っている糖尿病であること、また父が「パーキンソン症候群」で筋力が衰えていることを伝えると、すぐに「ご両親の要介護(要支援)認定申請をしましょう」と言って翌日、早速この社会福祉士の方が代理で申請書を市役所に提出してくれました。
また、一番の問題であったトイレも、木製のしっかりしたポータブルトイレを最寄りの施設から借りてきてくださり、トイレ問題も一件落着です。「今一番大変な時ですから、前倒しで介護事業所と契約してヘルパーさんに来てもらいましょう。」という社会福祉士さんの言葉で、申請書を提出した日には、社会福祉士さんに紹介していただいたケアマネージャーと介護事業所との契約を済ませました。
もし、要介護(要支援)認定を受けられなかった場合は、費用は自費にするということでヘルパーさんにも来てもらえることになりました。

実際に介護認定を受けるまでには、1ケ月以上かかりますが、認定を受けると申請日にさかのぼって適用されるので、前倒しで契約したヘルパーさんの利用料も介護保険の対象になるのです。結果的には、母が要介護2、父が要支援の認定を受けました。このような形で介護保険を利用するようになるとは思ってもいませんでしたから、ただただ、この時は本当に社会福祉士の方に感謝し、介護保険のありがたみを実感したものです。

最近は、私も「リタイアメントプランニング」のセミナー等で、介護保険に触れることが多くなってきましたが、「もし、家族に介護の必要が出てきた場合は、 最寄りの地域包括支援センターに連絡を取り相談しましょう」とお話しています。私の実家のケースのように、「要介護認定申請書」の提出も地域包括支援センターに代行してもらうこともできます。

ちなみに「地域包括支援センター」は、2005年、介護保険法の改正で設置されました。介護だけでなく、医療、福祉も含めた、地域住民である高齢者の生活全般にわたっての総合的な相談窓口になっていますので、高齢者である親ごさんのことで何か心配事がありましたら、最寄りの地域包括支援センターを活用して みてください。

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