【2011年 第7回】「デイサービス」と「デイケア」 ~実録介護保険~
浅川 陽子(アサカワ ヨウコ)⇒ プロフィール
――「デイサービス」利用で、本人も家族もリフレッシュを!――
<デイサービスの利用>
私の実家のご近所の話です。
90歳を過ぎたAさん(女性)を、同居の60代の娘さんと息子さん夫婦の3人で介護しています。毎週水曜日になると、朝9時前に「デイサービス」のお迎えの車が来て、Aさんを「デイサービスセンター」に連れていきます。Aさんが車で帰宅する夕方4時半まで、娘さんと息子夫婦は毎週、外出します。水曜日はこちらのお宅にとっては家族全員が外出の日になるそうです。
こちらは85歳のBさん(男性)の場合。Bさんも週1回、「デイサービス」に行きます。Bさんの唯一の楽しみは囲碁。「デイサービス」センターでは、囲碁のできる男性ヘルパーさんがいつもBさんの相手をしてくれます。Bさんにとって「デイサービス」は囲碁が楽しめる場なのです。
86歳のCさん(男性)の場合、週2回デイサービスを利用しています。主な目的は、入浴です。
「デイサービス」は、正式には「通所介護」といい、在宅サービスの中の「施設などを利用する」サービスの1つです。主な内容は、「デイサービスセンター」(日帰り介護施設)などへ通所し、食事、入浴、機能回復訓練を行うというものです。
機能回復訓練とは、麻痺などにより失われた機能の回復を図る運動療法、機能的作業療法と、機能障害が永続的になった場合、残された健全な機能の開発を図る日常生活活動訓練などをいうそうです。
以前、私が見学に行ったデイサービスセンターでは、機能回復訓練士さんがいて、利用者ごとに、簡単な運動メニューを作り、それを各自こなしていましたが、私の父が3ケ月間ほど利用していた「デイサービス」では、利用者全体で体操をするぐらいで、機能回復訓練とまでいかないような感じでした。
では、他に何をやっているかというと、「レク」といわれる、レクリエーションです。「レク」の代表的なものは塗り絵、ちぎり絵等、図工的なもの、カードやかるた等のゲーム、輪投げなどの体を使うゲーム、などです。こういった「レク」も娯楽という側面のほかに、作業療法的な側面もあるようです。
機能回復訓練に重点をおきたいのであれば、「デイサービス」ではなく、「デイケア」というサービスもあります。正式には「通所リハビリテ―ション」といい、医療施設や介護老人保険施設などへ通所し、理学療法士や作業療法士によるリハビリテ―ションなどを行うというものです。
<デイサービスを利用した時の負担金額>
「デイサービス」や「デイケア」の利用料は、施設によってもまた介護度によっても違いがあります。また、要介護者は1日単位、要支援者は1ケ月単位の定額料金制になっています。要介護者の場合、1回につき8,000円~12,000円(6時間以上8時間未満)ぐらいになり、自己負担はこの1割です。なお、食事代、おやつ代、レクリエーションの材料費等、おむつ代は全額自己負担になります。
<デイサービスセンターも多様化している>
「デイサービス」を提供する場所は、特別養護老人ホームなどの施設の他、最近は1日の利用者が10人程度という小規模な「デイサービスセンター」も増えています。小規模な所の場合、施設というより、知り合いの家に遊びに行くというような雰囲気をめざしているようで、初めての人でも馴染めやすい環境と言えるかもしれません。
また、最近は「デイサービスセンター」でも、「デイケア」なみに機能回復訓練に力を入れているところもありますし、食事についても、手作りの食事が出てくる所もあれば外部のお弁当ですますという場合もあるようなので、内容をよく調べ、見学に行ってみるのもよいでしょう。
「デイサービス」は、家にとじこもりがちな高齢者にとってよい気分転換になる一方で、結果的に介護者の息抜きの時間も提供してくれます。実は、この介護する家族の負担を軽減するというのも、今や「デイサービス」の大きな役割になっています。ですから、「デイサービス」を上手に利用して、本人も家族もおおいにリフレッシュしましょう。
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