【2011年 第18回】 「もしも」に備える①~緊急の連絡先はどのレベルで書いておく? “終わり”ではない「エンディングノート」
高原 育代(タカハラ ヤスヨ)⇒ プロフィール
こんな時代、いざという時、紙にまとめた情報がやっぱり頼りになると見直している人は多いようです。どんな時に誰に何を伝えてほしいのかを整理しておきたいものです。
「もしも」に備える手段のエンディングノート
今年3月11日に発生した東日本大震災。日本を襲ったこの出来事によって、私たちはあらためて命の尊さと同時に儚さ(はかなさ)を教えられた気がします。そして、日頃はあまり考えたくない「もしも」について、考えるきっかけとなった方は多いのではないでしょうか。
ただ考えるだけではなく、考えたことを形にして“もしも”に備えるためには、「エンディングノート」は有効な手段の1つだと思っています。
私は現在45歳なのですが、先日、私より少し若い男性とこのノートについて話す機会がありました。
このコラムでは「“終わり”ではないエンディングノート」というテーマで、少し若い世代にも必要なものだとご提案しているのですが、その男性からは「なかなか若い世代にとっては必要性を感じにくいのでは」と言われました。たしかに日本人には、「起こってほしくないことを考えるのは“縁起でもない”」と考える風潮もまだ根強いのかもしれません。
でも、起こってほしくないことであっても可能性がある以上は、起こってしまった後のことについてあらかじめ備えておくことは大切なことだと思います。
どんな世代の人にでも、日常生活の中で緊急事態は起こり得ます。
そんな緊急事態が起こった場合に大切な人と連絡をとる方法は、携帯電話というツールが登場する以前と以降で大きく変化しました。
震災時に必要なデジタル以外の情報
今回の大震災の発生時には、頼りにしていた携帯電話もメールも思うようにつながらなかったり、電池切れで使うことができなかったり…という体験をした方も多かったようです。
しかも、携帯電話の電池切れや大規模な停電という事態には、携帯電話やパソコンそのものが使えないというだけではなく、その中にあるデータ、例えば電話番号などの連絡先を見ることができないといった“落とし穴”があったのです。
携帯電話やパソコンが登場する以前の私たちは、身近な人や大切な人たちの電話番号などは、手帳の最期の備忘録や壁掛けのカレンダーなどの「紙」媒体に記録していたのに、いつのまにか、いつでも見られる“はず”の携帯電話やパソコンという「デジタル」媒体に頼りきってしまうようになりました。
いざという時には、やはり紙に記録された情報が役立つことを身をもって体験された方は多かったと思います。
○ 緊急時に連絡を取りたいのは誰(個人・団体)ですか?
○ その人(個人・団体)は、あなたとどういう関係にある人ですか?
○ どんな場合に、その人(個人・団体)に連絡をとってもらいたい、あるいは取ってもらう必要があると考えていますか?
○ あなたに代わって連絡をその役割と務めてくれるのは誰(個人・団体)ですか?
○ その人(個人・団体)に、上記のことがらを伝えてありますか?
今回の大震災にかかわらず、自分に関わる何か大きなきっかけがあった時には、一気にまとめるエネルギーにつながるのかもしれません。
実は…最近、私も「『ガン宣告』疑似体験」を経験し、緊急の連絡先だけではなく、大切な人に自分のホンネを伝えておくことの大切さを実感しました。それについては、また次回。
この記事へのコメントはありません。