【2011年 第7回】 セーヌ川の船で暮らす“ペニッシュ族” ~フランス気分~
横川 由理(ヨコカワ ユリ)⇒ プロフィール
パリのアパルトマンというだけですてきなのに、セーヌ川に浮かぶ船に住むというのはさらにゴージャスな響きがあります。住むだけではなく、カフェやレストラン、劇場、クラブまで様々。おまけにバカンスになると、船ごと南仏へ移動できちゃうのです。
ペニッシュ族
ペニッシュは、運搬用に使われている平底船。廃船になったペニッシュを改造して住んでいる人たちを“ペニッシュ族”といいます。水に囲まれての生活は、揺りかごみたいだそう。
船に住むというと、ボートハウスなど狭い船を想像してしまいますが、ペニッシュは大きいもので200㎡、と一般のアパルトマンよりかなり広いのです。縦40メートル×横5メートルだと、ちょうど200㎡になりますね。値段もアパルトマンより割安に手に入れることが可能です。
船内は、水の反射で意外に明るい空間が広がっています。
1階(屋上)部分であるデッキでガーデニングをしたり、テラスチェアをおいてのんびり過ごしたり、友人を呼んでパーティーを開くのもよいでしょう。さらにプールまである豪華版ペニッシュも!200㎡のお部屋と200㎡の庭があるとイメージしてみましょう。
維持費が重い水上生活
いいことずくめの水上生活ですが、実は維持費の負担が重くのしかかってきます。セーヌ川へ船を停めておくのもお金がかかりますし、なんといってもメンテナンスが大変だそう。
停船料は環境庁の機関が管理しており、船の種類や大きさによって異なっています。1番人気シャンゼリゼのそばは、800ユーロ以上。1ユーロ112円だとすると、9万円ほど、もちろん、毎月支払う必要があるのです。
一方、パリの郊外の安い地区では、同じ大きさのペニッシュでも170ユーロ(1万9千円)くらいから停船することができます。
とはいえ、場所が限られていますし、マンションのように上に伸ばすことができませんから、停船場所を求めて、400隻ものウェイティング状態が続いています。
エコライフのペニッシュ生活
船を購入するのは場所を確保できてからでないと困ってしまうことに。シャンゼリゼ近くなど、人気のある場所はほとんど動きがないそうです。
また、メンテナンスは、10年に1回、船底を掃除することが義務づけられています。水に浮かんでいるわけですから、普通の家より痛みやすいはずです。日曜大工が好きな人向けです。
ガス管や水道管があるわけではありませんから、ガスや水に限りがあります。常にエコライフを心がけている必要があるでしょう。
8月はフランス人のバカンスシーズン。
有休は1年間に5週間あり、日本とは雲泥の差です。4週間を夏休みにして、残りの1週間を取っておくのが一般的。
ペニッシュで家ごと移動できるのはすてきです。とはいえ、船舶免許を取らなければ誰でも操縦できるわけではありません。もちろん学科試験と実技試験に合格するする必要があるのです。さらに健康診断までパスしなければなりません。
高いハードルを乗り越えて手に入れたペニッシュ生活はさぞ快適でしょう。ずっと住むのでなくとも、短期間の貸し出しもあります。
パリや近郊であこがれの水上生活をしてみたいですね。
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