【 2009年 第 8 回 】生命保険を見直したい 相談コラム
高原 育代(タカハラ ヤスヨ)⇒プロフィール
- 相談者
Sさん一家 - 家族構成
夫(37)会社員、Sさん(33)主婦、長女(5)、二女(3) - 相談内容
夫にはボーナスがなく、給料は平均して23~25万円。将来の昇給もないので、教育費の増えるこれからが心配です。
夫が作業員なので、ある程度保障は欲しいのですが、現在、生命保険料がかなり負担になっている状態。見直せる部分はあるでしょうか。社宅住まいで、老後も実家に住む予定なので、住宅用の積立はしていません。ただ、そのころには実家もリフォームが必要な時期。どのくらいの貯蓄があればよいか教えてください。
- 収支表
回答
ボーナスや昇給に頼れない厳しい家計ですが、残業代や児童手当を別枠として確実に貯蓄をし、車や保険料等金額の大きな年払いに毎月の積立で備えるなど、家計管理の姿勢はすばらしいと思います。また、食費や光熱費など日々の努力もがんばっておられる様子が伝わる家計だけに、それ以外の「毎月決まって出ていくお金」を改めて考えたいところです。
その代表が生命保険料。現在、月額で45000円余りで、これは、ご主人の月手取額の2割にもなっているので、もう少し考えた方がよいでしょう。
まず、ご主人の保険に関して。万一の際でも、住宅取得資金が不要ということですから、死亡保障の額を抑えて毎月の支払を減らすことも可能でしょう。その分を、将来のご実家のリフォームに備えた貯蓄に回すことができます。
ただし、ご主人のご職業柄、ケガへの備えは必要ですね。生命保険では、死亡や入院に対する保障はカバーできても、入院を必要としないケガでも職場に復帰することはできないようなケースには対応できません。このような、働けない場合の収入を補填するものとして「所得補償保険」という損害保険がありますから、生命保険の見直しと合わせてご検討なさってはいかがでしょうか。
次に、Sさんとお子様方の保険。養老保険がほとんどですが、契約の新しいものは貯蓄性がよくありません。特にSさんの保険については、満期になると医療保障等も消滅してしまう点が心配です。主婦の場合は、単体の医療保険(死亡保障に重点を置いたものよりも医療保障に絞った掛け捨てタイプ)でも十分。保険の貯蓄性に頼らずに、保障は保障、貯蓄は貯蓄と分けて考えた方が効率的です。
貯蓄に関しては、「いくらあれば足りるのか」が誰しも気になるところ。でも、「いつ頃何をしたいのか、それに対してどれだけお金が必要なのか」という風に考えた方がよいと思います。そうすれば、貯蓄に対する目標の時期と金額が明確になり、それに合わせた資金計画が立てられます。
老後のご実家のリフォームの前に、確実に必要となるのがお子様方の教育費です。10年後を見据えて準備を進めていきましょう。ご主人の収入だけに頼るのではなく、将来的にSさんが働きに出ることも可能となれば、家計の収入が安定しますね。
コラムは、熊本日日新聞(2004年4月~2005年3月)に掲載された「家計CHECK」を加筆修正したものです。
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