ホクレア号が教えてくれたこと【2009年 第 11 回】

【 2009年 第 11 回 】ホクレア号が教えてくれたこと ハワイ大好き

 高田 晶子(タカダ アキコ)プロフィール

こんにちは。マネーカウンセリングネットWealthの、ハワイ大好きな高田晶子です。

今回は、ホクレア号という古代式航海カヌーのご紹介をしたいと思います。

 

海を自由に行き来していたポリネシア人の祖先たち

ポリネシア人の祖先たちは、海図もコンパスもない中で、海を自由に行き来していたと言います。何の機器も使わずになぜ、目的地に到着することができたのでしょうか?
彼らの航海術は、「スターナビゲーション」と呼ばれるものです。

スターナビゲーションは、星、月、太陽の位置から方角と緯度を判断するものだそうです。でも、いつも天気が良いとは限りません。そんな時には、波、風、雲、さらには海鳥など、あらゆる自然環境を観察して、感じて、現在の位置や目的地の位置を把握したということ。
しかし、何の機器も使わずに航海などできるのか、本当にハワイの祖先は海を渡ってきた人たちなのか。

古代式航海カヌー「ホクレア号」

そのことの科学的な立証のためにも、建造されたのが「ホクレア号」。1976年の初航海以来、長きにわたって検証が続けられており、2年前の2007年には、ハワイから出航、マーシャル諸島、ミクロネシアを経て、5カ月の歳月ののち、横浜港に入港したのでした。

この話を聞いていた私は、横浜港に来る日を楽しみに待っていました。そして、そのホクレア号は数日間にわたって公開されたのですが、古代ハワイアンの祖先に思いを馳せる日本人の多いこと(苦笑)。
朝早くでかけていったのですが、結局見学することはできませんでした。ただ、幸運なことに、このホクレア号に乗り込んでいた日本人クルーのお二人のお話を聞くことができたのです。

太平洋を渡るカヌー

想像してみてください。船と言ってもカヌーです。カヌーで太平洋を渡ってきたのです。大海原に出れば、見えるのは360度水平線だけ。そんな大海原で大しけに合ってしまったのだそうです。あまりの恐怖で、精神状態を正常に保てず自分の役割を果たすこともできなくなってしまった男性日本人クルー。そんな彼に船長の一人がかけた言葉は、

「恐怖を超えられるのは夢しかない」

ビジョンを持ち続けることの大切さを、航海の苦しさを通じて話してくださいました。

古代ポリネシアンが、自由に航海していたとはいえ、どんな思いでハワイ諸島を見つけ、そこに移り住んだのか、その一言から思いを馳せ、私はあふれ出てくる思いを抑えることはできませんでした。

そして、もう一人の日本人クルーはとても美しい女性でした。大しけも怖いですが、彼女が話してくれたのは、あまりに天気が良い日々の恐怖。風は吹かない、波もない。カヌーはずっと止まったまま。どんなに心細かったでしょう…。
そんなとき、ほんのちょっとした風や天候の変化をキャッチし、船長が、「沖縄はあっちだ!」と指をさす方向を信じて、クルー一丸となって乗り越えてきたお話もまた感動でした。

これからの時代に必要な直感を研ぎ澄ますこと

機器を一切使用しないホクレア号で頼りになるのは、自分の五感だけ。これを研ぎ澄ましていくこと、つまりは直感を研ぎ澄ましていくことは、これからの時代に必要なことだと思う、とお話してくださいました。

私達は、お金さえかければ、便利で楽なものがすぐ手に入り、もともと持っていた五感や人間の本来の能力を失いつつあるのかもしれないですね。自然を大切にするハワイの人々のルーツは、こんなところにもあったのだなと、改めてハワイの偉大さ、そして生きていく上で大切なことを教えてくれたホクレア号でした。

ホノルルのビショップミュージアムのプラネタリウムでは、この航海術の紹介をしているようです。今、私たちがハワイで癒しの時間を過ごせるのも、この古代ポリネシアンの人々が命をかけてハワイに渡ってきてくれたからこそ。
ハワイで、そんな思いを馳せる時間を過ごすのも、またハワイのよさを感じていただけるひと時だと思います。

ホクレア号 2007年横浜にて

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