【 2009年 第 4 回 】2008年度の外国為替相場 資産運用
有田 宏(アリタ ヒロシ)⇒プロフィール
9月のリーマン・ブラザーズの破綻から急激な円高へ
グラフは2008年4月1日から2009年4月31日までの主要通貨(アメリカドル、ユーロ、イギリスポンド)の対円相場。
前半は緩やかな円安傾向。ところが9月にリーマン・ブラザーズの破綻、AIGは経営危機によりアメリカ政府の管理下に。
その後急激な円高へと舵の向きを変えた。この間の他の通貨も含めた数値は下記のとおり。
変動率から見えることは、ドルは意外と堅調、一方他の通貨の下落が急激である。世界的にはむしろドル高といっても良いくらい。
ただしこれはアメリカ経済が強いわけではなく、アメリカから発した金融危機のため、金融機関などが基軸通貨でもあるドルを確保しておくために起きたドルへの需要増。
ゆうなればアメリカ経済の弱さがドル高を演出したという皮肉な結果となった。
想像を絶する2008年10月の相場の大変動
グラフでも明らかなように、リーマン・ショック後の相場の大変動。さらには金融安定化法案がアメリカ下院で一旦否決されるというおまけまでついて、2008年10月の動きは想像を絶する物となった。
ユーロの動きを見ても10月20日の138円から24日の121円。この5日間の変動率は▲14%。外国為替証拠金取引で円売りユーロ買いを建てていた場合、安全策としてレバレッジ倍率を10倍くらいと低めにしていたとしても、わずか5日間で預けていた証拠金がマイナスとなってしまう。
損失が証拠金のの一定割合(ロスカット・レベル)を超えそうになると強制的に手仕舞いを行い、損失を証拠金のロスカットレベルの範囲内に納める、ロスカットを導入している事業者も多い。
仕組上は証拠金以上に損失が膨らむことは無いが、だから安全ということも言えない。
相場が短期間に想定以上に大きく変動した場合、ロスカット対応が間に合わず証拠金以上の損失が生じる可能性もある。
思わぬ損失を生じさせないための3つの留意点
2008年10月などの相場変動の大きな時期、またドルやユーロ以外の変動が大きくなりそうな通貨の取引は注意が必要である。思わぬ損失を生じさせないためにも次の3点のうちどれか1点を考えておくべきであろう。
①レバレッジ倍率は低めに。
②ロスカット・レベルは高めに設定しておく。
③証拠金を超える損失に対応するために、常に流動性の高い資産を別途用意しておく。
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