【 2009年 第 1 回】中国経済政策のかじ取り 資産運用
大山 潤(オオヤマ ジュン)
実際に、中国の経済政策は輸出から内需へシフトしつつあります。またそれを実現するための潜在能力(例えば、人口、資源、一党独裁の政治体制、軍事力・・・)は、他のどの国よりも高いと感じています。
以下は記事からの抜粋です。
投資、輸出、重工業との中国の結びつきは根強く、年間10%の素晴らしい成長の原動力であった。また中国は、30年前に市場改革に着手して以来、それを謳歌してきた。(それを捨て)サービスにより国内消費を支えつつ、輸出から経済を引き離すことは、「言うは易し、行うは難し」である。
輸出需要の減退
しかし、輸出需要の減退による数千に及ぶ工場閉鎖は中国の自信に深刻な打撃を与え、中国は自立する必要があることを悟った。2009年の経済政策を決めるために月曜日にスタートした中国の最高指導者による会議の結果、国内消費の促進に真剣に取り組むことになるだろう。
昨年の中国国内の家計消費は、GDP比わずか35%と、平時の主要国の数字比較して記録的に低い。1980年代は、50%を超えていた。対して昨年のアメリカの消費はGDP比72%。アメリカが消費しすぎだとすれば、中国は極端に倹約し過ぎだといえる。
中国が自身の潜在能力を活用しようとしている証拠として、ベン・シンプフェンドアファー(ロイヤルバンク・オブ・スコットランドのエコノミスト)は、地方におけるテレビと洗濯機の購入者に対する13%の税制優遇措置の全国的な広がりに言及する。少数の行政区での試験的プログラムは、家電売上高を40%増加させた。
所得税の課税下限の引き上げ、国の労働者の賃金の上昇、住宅補助金の増加と最低所得保障、そして健康、年金と教育の追加経費は、より自由に消費できる人々を増加させるために戦略会議で検討されるべき課題だ。
低い健康保険と教育への公的支出
健康保険と教育に関する公的支出は、それぞれGDP比で1.8%と2.5%と世界平均に比べてかなり低い。そして中国の新たな4兆元(5860億ドル)の刺激策のうち、2つの部門に予算計上されるのはわずか1%だけである。
理由の一つは、中国は追加資金を賢明に使うために適切な官僚機構を持っていなかったことだろう。病院を建設するためにコンクリートを流し込むのは簡単。医者と看護婦を訓練し、発展途上にある国内の全域で医療保険制度を管理するのはより難しい。
しかしカーラ・ウィーマー(カリフォルニア大学中国研究客員教授)は、福祉事業提供のための権限を町や村から郡レベルに移すことにより、中国は近年著しい進展を遂げ、人員はよく訓練されていると話す。昨年、地方の軍部の86%が共同医療制度を確立したと。
進まぬインフラ整備から社会的支出への転換
当然のことながら一部の学者は、中国がインフラ整備から社会的支出への転換を実現するために、政治的に行動するのかどうか疑問を持つ。ザイウー・チェン(経営管理大学院教授)は、低税率や社会的プログラムを通して人民へ資金を還元することへの中国での優先度は高くないという。なぜならリーダー達は、選挙に立つ必要がないのだからと。
これはブラジルとインドのような民主主義国家が、インフラ整備の面で中国に立ち遅れているだけでなく、中国の景気刺激策がなぜ道路と鉄道建設に集中されるのかを理由づける。非民主主義において、当局は彼らの有権者ではなく上司への説明責任がある。そして上司にとって形のあるプロジェクトは、承認することが最も簡単なのだ。
30年間、国有化と税金をとおして政府の手による資源への集中は、中国によく貢献した。しかし、自立した成長の原動力となるために必要な個人消費は不足している。
そのために中国は所得の押し上げと人民の経済的安定への理解を促進させなければならない。とチェンは主張する。
REUTERS:
http://www.reuters.com/article/worldNews/idUKTRE4B716P20081208?virtualBrandChannel=10341&pageNumber=1
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