【 2009年 第 2 】ビッグマック指数でみる為替変動 資産運用
大山 潤(オオヤマ ジュン)
コラムのテーマとして、資産運用に役立ちそうな経済・時事に関する話題を扱っていますが、昨年までの担当させて頂いた地域別コラムを含めて、ほとんどが危機あるいはデフォルト話題のオンパレードになってしまっています。
現在の経済状況を考えれば、まあ仕方のないことかもしれませんが。
そこで今回は少し軽めの話題として、英エコノミスト誌が考案したビッグマック指数を取り上げて、最近の経済状況と為替の関係を見ていきます。
購買力平価説がベースのビッグマック指数
ビッグマック指数は、購買力平価説の考え方をベースとします。購買力平価説においては、為替レートは、それぞれの国の購買力の比率によって決定されるとされています。
例えば、1ドル100円の時に、ビックマックがそれぞれ、日本では280円、米では3.50ドルで販売されていたとすると、米でビッグマックを買うには350円が必要です。
そこで通貨の購買力が対等であるべきだと仮定すれば、米でも280円でビックマックを買える1ドル80円が、妥当な為替レートということになります。
2009年1月時点でのビッグマック指数に対するEconomist誌の指摘は以下3点
・前回調査時2008年7月と比較して、かなり割安であった円がフェアバリューに近づく。
ビックマック指数におけるドル/円は、2.62から3.21へと+19.1%円高ドル安方向へ変動しました。
ただし、ビックマック指数(3.54ドルが基準値)においては、まだ円は安く、3.21÷3.54*90=82円がフェアバリューとなります。
・ポンドはドルに対してオーバーバリューだったが、アンダーバリューへ。
前回調査時の4.57から3.33へと-27.1%ドル高ポンド安が進行しました。
・ユーロは、まだオーバーバリューではあるが、その差は著しく縮まっている。
前回調査時の5.34から4.5へと-15.7%ドル高ユーロ安が進行しました。
ビッグマック指数には欠点も多い
そもそも購買力平価説は、為替レート決定要因の一つとして考えられる説であり、それだけで為替の動向を説明できるものではありません。
また記事に対するコメント欄にある、先進国と新興国におけるマクドナルドに対するステータスが異なる、という指摘はその通りだと思います。たとえば、月収に対するビッグマックの価格は、そもそも各国の経済状況で大きく異なるだろうということ。
それでも、各国の事情を読み取って、時系列にデータを比較してみることで、そこから学べることは多いなと感じます。
ちなみに、ヒンドゥ教徒が多数派のインドは、ビーフパテを用いるビッグマック指数には採用されていないのですね。
Economist.com:英エコノミスト誌
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