【 2009年 第 4 回】新年度で何が変わる?~下がったもの、上がったもの、変わったもの~ エコライフ
江口 久美子(エグチ クミコ)
新年度に入りましたね。
雇用不安や金融不安が続く中、4月から値下がりしたもの、値上がりしたもの、そして制度が変わったものがあります。
リーマンショック以降の急激な景気悪化に対する景気対策の一環としての制度変更が少なくないようです。
値下がりしたもの
去年までは値上げの話ばかり耳にしていましたが、今年の春先から値下げ合戦と言わんばかりにいろいろなものが値下がりになっています。以下に一例を挙げてみたいと思います。
1. 電気料金・ガス料金
5月から電気料金とガス料金が過去最大の値下げとなります。
燃料と原料の調達価格が世界同時不況による需要の減少で急落したためです。
電気料金は607円から204円程度、ガス料金は348円から284円程度の値下げ幅となります。
また、燃料や原料の調達価格の変動を料金になるべく早く反映させるために、今までは3ケ月に一度だった料金見直しが、5月分より毎月見直しされるようになります。
電気とガスを合わせると少なくとも年間で6000円弱の値下げとなりますが、今までの値上げを考えると、元に戻ってきたという感じですね。
2.パン・チーズ類
政府が製粉会社に売り渡す輸入小麦価格が14.8%引き下げられたことによって、パンやチーズ類が5月より値下げとなります。
電気やガスと同様、今までの急速な価格高騰を考えると、値下げとなっても消費者の節約志向は続きそうですね、
3.燃料サーチャージ
最大で90%程度引き下げられます。北米欧州路線では、今まで片道2万2000円かかっていた燃料サーチャージが4月より3500円となります。
円高の影響も手伝ってか、JTBの発表によるとゴールデンウィーク中の海外旅行者は前年比の約10%増の50万人で、3年ぶりに増加する見込みのようです。こういうニュースを聞くことによって、「今がチャンスだから旅行に行こうかな」という人が増えて、結果として世の中にお金がまわり景気が少しずつでも上向いてくるのではないかと思います。
この他にも、低価格帯の衣料品店や大手スーパー、外食産業などでも値下げ合戦が始まっていますね。値下げは私たちの家計には嬉しいことなのですが、値下げが過度になってしまうと企業の収益が上がらず、結果的には雇用不安や社員の給与カットが続くのではと懸念される一面もあります。
値上がりしたもの
値下げ合戦の一方で、値上がりしたものもあります。
国民年金保険料は昨年度までは月1万440円でしたが、4月からは250円値上がりして1万4660円となりました。
年間で3000円のアップとなりますが、現金で1年分前納すると3,120円、6ケ月分を前納すると710円割引きになります。ただし、現金前納の支払い期限は4月30日までですのでご注意くださいね。
制度が変わったもの
次に、新年度から制度が変わったものを挙げてみましょう。
1.エコカー購入時の自動車取得税と重量税が減免
電気自動車や燃料電池自動車などは自動車取得税、自動車重量税が100%免除され、各エコカーの環境に性能レベルに応じ3段階に分かれていて50%、75%、100%減免されます。
ハイブリッドカーは、重量税と取得税合計で約10万円強の税額控除となります。
2.住宅ローン減税
2009年に入居者した場合の最大控除額が10年間で最大500万円となります。「200年住宅」と呼ばれる寿命の長い住宅の場合は累計で600万円となります。
2010年3月末までに一定の省エネ・バリアフリーリフォームを行った場合は、固定資産税が減税される「省エネリフォーム減税」も軽減延長されています。その他にも、登録免許税、不動産取得税、印紙税なども軽減延長されていますので住宅購入を検討している方はチェックしてみてくださいね。
また、贈与税は現在年間110万円が「基礎控除」として課税されない仕組みとなっていますが、子や孫などが贈与された財産を居住用の住宅の取得に充てた場合に限って、さらに500万円の非課税枠が政府の追加経済対策として設けられています。期間は2009年と2010年の2年間です。
3.太陽光発電システムの導入に助成金
家庭用太陽光発電システムの導入に関する補助制度で、政府の補助政策、都道府県の補助金、自治体の補助金などを活用すれば、約3割以上安く導入することができます。
4.妊婦検診の公費負担制度の拡充
住んでいる地域にもよりますが、今までは5回が原則とされていた妊婦の健康診査の公費負担(無料検診)が14回となります。1回あたりの公費負担額は約5000円で、超過分は自己負担となります。自治体によって回数や公費負担額が異なりますので、要チェックです。
5.雇用保険法の改正
非正規労働者に対する支援として、これまで「1年以上の保険加入」が必要だった失業給付の受給資格要件が「6カ月以上」に緩和され、受給日数も最大で60日間延長されます。また、短時間労働者や派遣労働者の雇用保険の適用基準が「1年以上の雇用見込み」から「6ケ月以上」に緩和されました。
6.生活保護母子加算の廃止
15歳以下の子どもがいる母子家庭に支給してきた生活保護の母子加算が4月から廃止となりました。2006年度は東京23区で月2万3000円だった支給額は、2007年度より段階的に減額されて2009年度からはなくなりました。
新年度で値下がりしたもの、値上がりしたもの、制度が変わったものを挙げてみましたがいかがでしょうか。すべてご存知でしたか?
毎日のように値下げや減税、そしてエコに関するニュースを耳にすることが多いと思いますが、今の時代だからこそ広いアンテナをもって情報収集をして、必要なものを見極める目を持って賢く利用していきたいものですね。
国の景気対策には、これからの生活を根本的に豊かにするような長期的な視野であることを期待したいと思います。
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