【 2009年 第 10 回】クレジットカードとの上手な付き合い方~キャッシング~ クレジットカード
キムラ ミキ
クレジットカードは、決済ツールという側面のほかにも、直にお金を借り入れるキャッシングという側面も有していることが一般的です。クレジットカード申込時に、キャッシング機能を付加しないという選択もできるのですが、「使わないかもしれないけど、とりあえず・・・」という感覚で、キャッシング機能を付加している方も少なくないでしょう。
しかし、最近のクレジットカードを取り巻く法律改正により、とりあえず…といったキャッシング機能の付加が難しい場合もでてきます。今回は、まず貸金業法改正について考えてみたいと思います。
何が変わったのか?
貸金業法の改正によって、今後、私たちに直接的に影響がある点としては、「金利」と「過剰貸付の抑止」の2点があげられるでしょう。
・金利
メディアでも取り上げられていた「グレーゾーン金利」という言葉に、聞き覚えのある方もいるでしょう。従来、利息制限法と出資法の二つの金利基準が存在しており、利息制限法には抵触するが、出資法には抵触しないといった、高めの金利水準(グレーゾーン金利)での融資が可能である仕組みになっていました。将来的に、このグレーゾーンが廃止され、金利の上限は20%に引き下げられます。
・ 過剰貸付の抑止
多重債務および、借り過ぎの状態が発生することを抑止するために、「総量規制」が行われます。これにより、貸金業者からの総借入額が年収の3分の1を超える借入はできなくなります。今後は、返済能力の調査が厳格化され、年収等の資料の提出が必要になる場合もあります。
上記2点の改正ポイントは、概ね2010年3月までに実施されるスケジュールになっていますので、既に現在、改正を意識した取組みを、クレジットカード会社でも順次スタートさせています。
(※ただしよく誤解されている点でもありますが、あくまで今回の改正は、貸金(キャッシング)にあたるものが対象で、クレジットカードのショッピング枠は対象外です。)
キャッシング機能って必要なの?
借り過ぎ防止の観点で、上記改正は必要なことであるとは思いますが、手間が増えることになるのも事実。面倒な手続きがいるのなら、クレジットカードにキャッシング機能を付与しなくてもいいわ・・・と考える方もいるでしょう。
とはいえ、いったんキャッシング枠を得ることができれば、ちょっとお金が入用なときに、使途不問で手軽に借りることができる点は便利です。
また、すぐに返済する前提で、銀行の引き出し手数料とキャッシングの金利を比較すれば、金利のほうが安い場合もありますので、手数料を節約することもできますし、海外旅行などで外貨が必要になった場合に、キャッシング枠があれば外貨を引き出すこともできます。等々、キャッシングの主なメリットをいくつかあげましたが、ご覧頂いた通り、キャッシングは必要な機能というよりも、「あれば便利」な機能といえるでしょう。
さいごに
しかし、特にキャッシングはATMからあたかも自分のお金のような形でお金が出てくる場合もまだ多いので、「借りたお金」という意識を薄めてしまう傾向にあります。そのため、ついつい借り過ぎに陥り、返済が困難になるケースも多いと考えられます。
今回の改正ポイントの一つである、「総量規制」により、借り過ぎに陥るケースも従前より、少なくなるとは考えられますが、「本当に今必要なお金なのか」、「返済目途があるのか」の2点を、私たち一人ひとりが考えて賢く計画的に利用することが、やはり大切です。
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