【 2009年 第 10 回 】古典を読む(イノベーションと企業家精神) 長期的視点
恩田 雅之(オンダ マサユキ)⇒プロフィール
イノベーション
前回8月の「競争の戦略(M.E.ポーター著)」に続き今回も経営書を読み最近のニュースと関連づけながらコラムを書き進めていきたいと思います。P.E.ドラッカーの著書は、簡潔な文章で具体的な事例も多く他の経営書に比べ読みやすいと思います。
P.E.ドラッカーは、様々な経営者、企業家の行動を分析しマネジメントを体系化した最初の人で20世紀、21世紀の経営者に大きな影響を与えた経営思想家になります。
今回、「イノベーションと企業家精神」を選んだ理由は、私自身がイノベーションという言葉が好きなことと、最近いろいろなこところで使われる「安心、安全」というキー・ワードについて自分なりに考える視点としてイノベーションを再度勉強してみようと思ったのが、その理由です。
上記の著書の中でドラッカーは、企業家について「秩序を破壊し解体する者」、「企業家は変化を当然かつ健全なものとする」と考え、その方法として、「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する」のが企業家および企業家精神と定義しています。
また、「イノベーションとは意識的かつ組織的に変化を探すことである」とも述べています。イノベーションが世の中に変化を起こすのではなく、世の中の変化を探すことからイノベーションが始まるという考え方がすごく新鮮でした。
7つのイノベーションの機会
ドラッカーがイノベーションの機会として以下の7つを挙げています。
1.予期せぬ成功と予期せぬ失敗
2.ギャップを探す
3.ニーズを見つける
4.産業構造の変化を知る
5.人口構造の変化に着目する
6.認識の変化をとらえる
7.新しい知識を活用する
活用できる項目は?
この中で、ファイナンシャル・プランナーの業務に活用できそうな項目として、「5.人口構造の変化に着目する」、「6.認識の変化をとらえる」の2つが該当しそうです。
読者の方もどの項目が活用できるか考えてみてはいかがですか?
人口構造の変化については「少子高齢化」というキー・ワードで広く認識されています。ドラッカーは、重心の移動について注目することを説いています。日本では、団塊の世代がリタイヤし高齢化していくことが、重心が移動していくことに当たるかと思います。
認識の変化については、「弱肉強食の資本主義」から「安心・安全社会を目指す」方向に世の中の考え方が変わってきたことが認識の変化に当たるかと思います。
「政権が民主党に変わり「国民生活第一の政治」、「内需を増やす政策」、「子育て支援の拡充」など、自民党の政策との違いが見えてきています。変化を期待し傍観していることもできますが、変化を利用することで、よりよい生活が達成できることを教えてくれた一冊でした。
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