【 2009年 第 6 回 】海外旅行と健康保険 社会保険
菅野 美和子(スガノ ミワコ)⇒プロフィール
海外旅行の海外療養費
通常は、病院で治療を受けた場合、原則3割(年齢等により異なる)を負担すればよいのですが、健康保険証を使用できない場合など、いったん全額支払って、後で払い戻しを受ける療養費というしくみがあります。
健康保険証を使用できるのは、日本国内のみです。海外旅行中に、病気やケガで現地の病院で治療を受ければ、費用は全額支払うことになります。
帰国後、それぞれが加入している健康保険へ手続きをし、かかった費用の払い戻しを受けます。これが海外療養費です。
それでは、海外で治療を受けた場合、費用の7割が戻ってくるのでしょうか。
外国での診療費は一般的に高いため、国内で同様の治療を受けたものとして、診療費が計算されます。
また保険外診療は療養費の対象とはなりません。
たとえば、日本円に換算して1万円を支払ったとします。国内での受診であれば、3000円を自己負担し、7000円の払い戻しを受けるということになりますが、海外での治療は、もともとの診療費の基準が異なるので、7000円より少なくなってしまうことが多いでしょう。
海外療養費の手続き
手続きはどうすればよいのでしょうか?
海外療養費には、診療内容証明書と領収書の原本が必要です。診療内容証明書は現地の病院で記入してもらいます。
海外であっても日本人医師に診察を受ければ、日本語で記載してもらえるでしょうが、外国語の場合は、翻訳が必要です。協会けんぽや健康保険組合では翻訳まではしません。ですから、第三者に翻訳してもらい、翻訳者の住所・氏名の記載も必要となります。
海外旅行へ行く場合は、診療内容証明書を持っていきましょう。書類は加入している健康保険の窓口で請求してください。
万が一、外国で病院にかかるようなことがあっても、用紙があればその場で書いてもらえます。
帰国してから、書類を送付して記入してもらうというのは、大変なことになります。国によっては、確実に届くかどうか、返信されるかどうか、わかりません。診断書代の送金など考えると大変な手間となります。
翻訳などを専門家に依頼すれば費用もかかります。海外療養費の請求はけっこうめんどうなものです。
このようなリスクも考えて、海外旅行の場合には、海外旅行傷害保険への加入も検討しておきましょう。
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