【 2009年 第 8 回 】子育てパパも応援! 養育特例ってなに? 社会保険
菅野 美和子(スガノ ミワコ)⇒プロフィール
厚生年金養育期間標準報酬月額特例は「特典」
Aさんが渡されたのは、「厚生年金養育期間標準報酬月額特例申出書」でした。
「厚生年金養育期間標準報酬月額特例」は、3歳未満の子どもを育てている人の「特典」というべき制度です。
社会保険に加入すると、健康保険料や厚生年金保険料の計算基礎となる給与の額を「標準報酬月額」として社会保険事務所へ届け出ます。「標準報酬月額」は原則として1年に一度見直します。当然、上がり下がりがあります。基本給が下がらなくても、その他の原因で、標準報酬月額が下がることもあります。
たとえば、時間外が減って給料が少なくなったとか、通勤距離が短くなり通勤手当が少なくなったなどです。
このように、標準報酬月額が下がった場合、3歳未満の子どもを養育している人には、特例があります。標準報酬月額が下がっても、将来受け取る年金が下がらないように、下がる前の高い標準報酬月額で年金額を計算するという特例です。
育児を応援する制度
この制度は、育児のために給料が少なくなっても、将来の年金額で不利益を受けないようにという、育児を応援する制度です。
子育て支援が目的ですが、育児ではなく、他のことが原因で標準報酬月額が下がったとしても、申出をしている人は、高い方の標準報酬月額で年金額が計算されます。
B子さんは、職場復帰後、育児時短を利用する予定です。養育特例の手続きをすることになりますが、ここで、Aさんも手続きしておきましょう。もちろん、下がることがなければ意味がありませんが、標準報酬月額が上がるか下がるかは予測できません。
下がったときに備えて、あらかじめ申請をしておくと安心です。
子どもの戸籍抄本、住民票(全員・続柄記載のもの)を用意してください。
手続きしておかねば、特例の対象とはなりません。
新米ママは、育児休業をとっても、慣れない子育てに大変です。
パパも育児に参加して、ふたりで子育てしてほしいです。そのためには、残業も配慮してもらい、早く家に帰れるといいですね。
そういったときに、この特例が生きてきます。
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