【 2009年 第 1 回】確定申告に挑戦しよう トピックス
當舎 緑(トウシャ ミドリ) ⇒プロフィール
昨年は、不安感ばかりが取りざたされ、将来のために、冬のボーナスもまず貯金という風潮の1年でした。
新年を迎え、「今年こそいい年でありますよう」にと、いつもより念入りに神様にお願いをした方も多かったかもしれません。
気を取り直して、「ちりもつもれば山となる」を合言葉に、少しでも税金を取り戻すべく、確定申告に挑戦してみてはいかがでしょうか。
医療費控除
まず、手間ひまとしては、一番かかるものの、一番身近な医療費控除について説明します。
基本的に、1年間にかかった医療費の領収書や市販の風邪薬のレシートなどは金額の多少に関わらず、捨てずに、すべて置いておきます。
医療費控除では、昨年改正点がありました。
20年4月から40歳以上の方に対して、いわゆる「メタボ健診」が義務化されましたが、その健診の結果、特定保健指導が行われた場合の指導料や、特定健康診査の結果が ①血圧症 ②脂質異常症 ③糖尿病と同等の状態であると診断された特定健康診査のための費用も医療費に入るようになりました。
毎年行っている人間ドッグの費用は対象となりませんが、40歳以上の方は、自分が受けた検診や診察が、なんのためであるのか確認してみましょう。
また、医療費は、生計を同一とする家族の者を合算できますので、例えば、下宿して離れている大学生の息子や、別居だが扶養家族にしている母親、年の途中で嫁いだ娘など、できるだけ医療費の領収書をかき集めてみましょう。
そのとき、忘れがちなのが、病院までの交通費。タクシー代は対象外ですが、公共交通機関を使った場合には、すべて対象となります。交通費というのは結構馬鹿にできない金額かもしれません。
そして、医療費控除の計算方法です。
医療費負担額(保険金などの補てん金は除く)-10万円(または所得金額の5%のどちらか低い金額)というふうに計算しますので、合算額が10万円を超えていなくても、対象となることがあります。
ご夫婦ともに所得がある場合に、どちらか低い所得に5%をかけてみるのも忘れないようにしましょう。
雑所得
次に、会社員でも、副業の収入が20万円以上ある場合です。
たとえば、原稿料や講演料、翻訳や入力などの副収入を得た時に、経費を計上してみると、すでに控除されている10%の所得税が還付される場合もありますので、計算してみる価値はあるかもしれません。
ただし、別途住民税はかかりますから、会社に副業を知られたくない人は、会社で住民税を引いてもらうのでなく、確定申告する際に、自分で納める「普通徴収」の欄にチエックをしておく必要があります。
損を繰り越す
昨年は金融不安のために、あらゆる株価が下落し、損切りのために、譲渡損を出した人も多いでしょう。
株式の譲渡損は、ほかの所得と通算できませんが、損失を出した年に申告書を提出しておけば、翌年以降3年間にわたり、繰越控除を受けられますので、来年に大もうけできることを期待して、少しでももうけを少なくする手段を講じておいてはいかがでしょうか。
ただし、この場合、申告をしたことで、専業主婦の奥様が扶養から外れてしまったり、翌年の国民健康保険料が大幅にアップしたりというデメリットも見逃せません。メリットとデメリットの兼ね合いをチエックしてみましょう。
社会保険料控除
社会保険料控除についても、20年4月より、75歳以上の高齢者のための「長寿医療制度」が始まっていますので、注意が必要です。
原則的には医療保険の保険料は、それぞれの年金から天引きされていますが、10月からは、配偶者の口座からの引き落としも認められています。
20年は10月から12月までの3か月の保険料ですので、額としては大きくありませんが、夫婦それぞれの年金からの天引きとなると、それぞれの社会保険料控除となってしまいます。
ところが、配偶者からの口座からの引き落としなら、その配偶者の社会保険料控除として申告できます。
結果として収入の多いほうの社会保険料控除とできることで、少しでも税金を減らすことができます。まだ、口座振替にしていない方は、来年の確定申告のために、市区町村で手続きをしておくのもいいでしょう。
これ以外でも、まだまだ確定申告の注意点はあります。
収入の大幅アップが見込めない状況ですが、1月から、所得税の還付申告は受付けてもらえます。
もし、これまで、還付申告をしていなかったとしても、5年は遡って申告が可能ですので、自分にあてはまる申告はないか、一度国税庁のサイトを覗いてみることをおすすめします。
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